ウィーン医科大学のMarcus D. Koeller氏

 一般に、高齢の関節リウマチ(RA)患者は、若年患者に比べて罹病期間が長いことが多いため、罹病期間というバイアスを排して純粋に加齢の影響を評価することは難しい。そこでウィーン医科大学のMarcus D. Koeller氏らは、罹病期間を3年以内に限定した2つの臨床試験のデータを利用することにより、このバイアスを排除。メトトレキサートMTX)と抗TNF薬への応答性に及ぼす加齢の影響を検討した結果、これらの治療への応答性は加齢による影響をほとんど受けないことを、パリでこのほど開催された欧州リウマチ学会(EULAR)で報告した。

 同氏らはASPIRE試験PREMIER試験のデータを利用した。前者がインフリキシマブ(IFX)、後者がアダリムマブ(ADA)の試験だが、いずれもMTX未投与かつ罹病期間3年以下の早期活動性RA患者を対象に、抗TNF薬(単独またはMTX併用)による治療とMTX(単独)による治療を比較している。今回は、これら2試験から得られた794例の抗TNF薬+MTX治療患者と438例のMTX単独治療患者のデータを統合解析した。

 Koeller氏らは、これらのデータから、ベースライン時と治療1年時の疾患活動性(SDAI)、身体機能(HAQ)関節破壊(Sharpスコア)の各数値を抽出。次に、抗TNF薬+MTX群、MTX単独群それぞれの患者を年齢によって四分位し(Q1:18〜42歳、Q2:43〜52歳、Q3:53〜61歳、Q4:62〜82歳)、各四分位層間の上記指標を比較した。

 その結果、MTX単独群におけるSDAIの変化は、最も年齢の低いQ1から順に-26.9、-26.3、-27.6、-31.8、抗TNF薬+MTX群における変化は-32.2、-27.9、-28.6、-31.9であり、年齢にかかわらずほぼ一定であった。同様に、HAQの変化は、MTX単独群で-0.77、-0.66、-0.69、-0.91、抗TNF薬+MTX群で-1.00、-0.83、-0.92、-0.93であり、年代間で大きな差はみられなかった。

 また、Sharpスコアの変化は、MTX単独群で4.57、4.99、3.14、2.70、抗TNF薬+MTX群で0.01、0.56、1.13、0.73であり、年齢とは全く無関係であった。なお、HAQの改善と関節破壊の進行抑制効果は、いずれも抗TNF薬+MTX群の方がMTX単独群より優っていた。

 以上より、早期RA患者においては、MTX単独治療あるいはMTX+抗TNF薬併用治療への応答性は、若年者も高齢者も変わらないことが示された。と同時に、治療効果自体は抗TNF薬とMTX併用の方がMTX単独よりも高いことが改めて示された。高齢の早期RA患者への治療を考える場合に、参考となる情報かもしれない。