抗TNF薬の有用性は数々のエビデンスにより裏打ちされているが、無作為化比較試験という特殊な状況ではない実臨床におけるアウトカムを示す知見は少ない。米ニューヨーク大学のA. Gibofsky氏らは、米国の関節リウマチ(RA)患者登録研究であるCORRONAレジストリのデータを解析し、インフリキシマブ(IFX)エタネルセプト(ETN)アダリムマブ(ADA)の3剤の抗TNF薬のなかで、初期投与の継続率についてIFXが他の2剤に対し、有意に高かったことを報告した。

 1999年に開始されたCORRONAレジストリは、1万人以上のRA患者のデータを網羅する米国最大規模の患者登録研究である。Gibofsky氏らは、その膨大なデータのなかから、(1)これまでに抗TNF薬の使用歴がなく、初めて処方を受けた患者と、(2)他の抗TNF薬からの切り替え患者(2回以上の切り替え者は除く)、という2つのコホートを抽出。年齢や罹病期間、メトトレキサート(MTX)併用量、疾患活動性といった他の交絡因子について補正した上で、それぞれのコホートにおける抗TFN薬の推定継続率を求めた。また、6、12、24カ月時点における反応率(変法ACR20改善率)と寛解率CDAI<2.8の達成率)を算出した。

 検索の結果、1434例の新規処方患者と673例の切り替え患者が抽出された。現在使用中の抗TNF薬は、新規処方コホートではIFXが500例、ETNが472例、ADAが462例、切り替えコホートではIFXが168例、ETNが169例、ADAが336例であった。

 新規処方コホートにおける処方後6、12、24カ月時点の各薬剤の推測継続率は、IFXが84%、72%、60%、ETNが80%、68%、50%、ADAが77%、63%、49%であり、IFXが最も高かった。IFXを基準とするETN、ADAの非継続ハザード比(HR)は、それぞれ1.31(95%CI:1.06-1.61)と1.44(95%CI:1.17-1.78)となり、IFXと他の2剤の間には有意な差が認められた(ともにp<0.05)。

 一方、切り替えコホートにおける推測継続率は、IFXが72%、61%、38%、ETNが71%、52%、37%、ADAが70%、53%、40%であり、やはりIFXが高率であったが、他の2剤との間に有意な差は認められなかった。

 また、反応率と寛解率については、切り替えコホートの12カ月目の解析において、ADA使用者における変法ACR20改善率がETNに比して劣っていたが(p<0.05)、それ以外は3剤の間に有意差は認められなかった。

 以上のように、IFX、ETN、ADAという3種類の抗TNF薬の間には、明らかな有効性の違いは認められなかったにもかかわらず、米国の実臨床においては、最初の抗TNF薬としてIFXを処方された患者が同剤を使い続ける割合が、他の2剤に比べて高いことが明らかになった。現在Gibofsky氏らは、その理由を解明すべく、IFX投与量の違いによる影響などの解析を進めているという。その結果に期待したい。