オランダLeiden大学のFina Kurreeman氏

 欧米人における関節リウマチ危険因子として最近同定された遺伝子変異が、1型糖尿病全身性エリテマトーデス(SLE)でも高頻度で見出されることが明らかになった。オランダLeiden大学のFina Kurreeman氏らが、欧州リウマチ学会(EULAR)のポスターセッションで6月14日に報告したもの。主要な自己免疫疾患に共通の危険因子のひとつが新たにみつかった可能性もあり、会場でも大きな関心を集めた。同氏は本研究で今期学会の若手研究者賞(賞金1万ユーロ)を獲得している。

 自己免疫疾患の遺伝的な危険因子としては、これまでに主要組織適合複合体(HLA)の遺伝子座の変異やPTP22遺伝子の変異、CTLA4遺伝子の変異などが知られている。Kurreeman氏らの研究グループは2007年秋、関節リウマチの新たな危険因子として、9番染色体上で隣接する腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連因子1TRAF1)遺伝子と補体第5成分(C5)遺伝子付近の変異を同定した。この研究は米国の研究グループとほぼ同時、論文掲載はKurreeman氏らオランダグループがわずか1日先行しただけという接戦だった。

 Kurreeman氏らは次に、関節リウマチ患者と健常人を比較して、TRAF1/C5領域で関節リウマチ患者における変異の頻度が最も高かった一塩基多型(rs10818488)について、他の自己免疫疾患患者の遺伝子型を解析した。

 解析は、スペインとオランダの735人の1型糖尿病患者、1049人のセリアック病患者、367人の全身性硬化(強皮)症患者、746人のSLE患者、これらの患者と同じ民族的背景を持つ3494人の健常人を対象とした。

 解析の結果、TRAF1/C5の特定の一塩基多型の変異が1型糖尿病患者(オッズ比1.14、p=0.027)とSLE患者(オッズ比1.16、p=0.016 )にも共通することが分かった。一方、セリアック病、全身性硬化症との関連は見られなかった。

 解析結果の信頼性を確認するため、遺伝的に均質なクレタ島出身者についても同様の解析を行った。その結果、クレタ島出身の1型糖尿病患者(オッズ比1.64、p=0.002)とSLE患者(オッズ比1.43、p=0.002)でも、同じ一塩基多型の変異があることが示された。解析結果を総合すると、この一塩基多型に変異があると、これらの疾患を発症するリスクが1.2倍に高まることが明らかになった。

 これらの結果から、関節リウマチ、1型糖尿病、SLEの発症に、同じ遺伝子変異がかかわっている可能性が示唆された。ただし、これまでのところ、TRAF1遺伝子の機能は分かっていない。また、今回解析した一塩基多型はC5遺伝子とTRAF1遺伝子の間のたんぱく質をコードしない領域にあった。そのため、疾患の発症にどのようにかかわっているのか、今後の研究が待たれるところだ。