欧州を中心とした実地臨床の場における関節リウマチRA)患者と医師を対象にした大規模な国際共同研究で、リウマチ患者の重症度は、先進国圏の中でさえ、国や施設によって大きな格差がある現状が浮かび上がった。QUEST-RA(QUEstionnaires in Standard care of patients with RA)研究の成果で、フィンランドJyvaskyla中央病院のTuulikki Sokka氏が6月14日と15日のポスターセッションで報告した。

 研究グループは、1カ国当たり3カ所の一般的な医療施設で、1施設について連続した100人の外来RA患者を対象とした断面調査を実施している。2005年1月に始まった調査は継続中で、2007年6月現在では、21カ国58施設から5235人の患者データが集積されている。

 今大会では、2005年1月から2007年1月にかけて、20カ国の57医療施設から得られた4955人のデータについて分析した。患者の平均年齢は57歳、90%以上が白人で女性が78%、RA罹患歴は平均11.5年、73%がリウマチ因子陽性だった。

 主治医と患者にアンケート調査を実施、主治医には圧痛・腫脹関節数血沈などの臨床評価を、患者には自己評価に基づくHAQ(Health Assessment Questionnaire)を行い、疾患活動性スコアDAS28)を算出した。

 DAS28の全平均は4.2。国ごとの平均値には3.1〜6.1と大きな差があった。DAS28スコアは1人当たりGDPと強い有意な負の相関を示した(r=0.76、p<0.001)。おおむね米国と西欧諸国が低く、東欧やアルゼンチンなどは高かった。

 個々の医療機関ごとにDAS28値の中央値とデータ範囲をプロットしたところ、国や医療機関によって、疾患活動性に大きな差違が見られた。

 調査時点で50人を超える患者のデータが得られた48医療機関についてみると、6カ国の8施設では、過半数の患者が低活動性(DAS28<3.2)だった。これに対し、7カ国の11施設では、患者の過半数が高活動性(DAS28>5.1)を示した。DAS28が低かった6カ国は、オランダ、フィンランド、米国、デンマーク、ギリシャ、スペイン、高かった国は、ドイツ、イタリア、ラトビア、ポーランド、アルゼンチン、セルビアの各国だった。

 Sokka氏は、「RA患者に関する科学的知見の多くは無作為化臨床試験によって得られているが、臨床試験は厳しい選択基準と除外規準を設けているため、実地臨床における患者の実態を反映するとは限らない。本研究のようなプログラムによって、医療機関や国ごとの医療状況の実態を知ることで、臨床試験では得られない疾患の理解ができる」と述べていた。

 なお、調査参加国は、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリー、ラトビア、リトアニア、オランダ、ポーランド、セルビア、スペイン、スウェーデン、トルコ、英国の欧州各国と、米国、カナダ、アルゼンチンの計21カ国。調査は継続しており、ノールウェイ、ロシア、日本が加わったほか、さらに3カ国がデータ集積を始めているという。