わが国におけるインフリキシマブIFX)の承認用量は3mg/kgであるが、増量によるIFXの有効性と安全性を検討したSTART試験が米国で行われた。その推進を担う米セントコア社のRahman氏らは、同試験において低用量から適宜増量を図るアーム群に割り付けられた患者における増量の状況とIFX薬物動態について報告。患者の多くは増量を要しなかったことを明らかにするとともに、増量を要した患者も、その原因は薬物に対する抗体形成によるものではないと述べた。

 START試験は、メトトレキサートMTX)治療を行ってもなお疾患活動性を有する関節リウマチRA)患者に対し、試験開始時から高用量(10mg/kg)のIFXを投与するアーム(第3群)と、低用量(3mg/kg)IFXから開始し、必要に応じてIFX増量を図るアーム(第2群)の有効性と安全性を、プラセボ群(第1群)と比較するプラセボ対照試験である。今回は、このうち第2群に割り付けられた患者360例を対象に、治療開始から1年間のIFX増量状況と血中薬物動態を検討している。

 第2群の患者には、0、2、6、14週にIFX 3mg/kgを投与し、22週以降は効果判定の結果に応じて増量か現状維持の決定がなされた。判定基準は、圧痛関節数(TJC)と腫脹関節数(SJC)の20%以上の改善とし、これを達成し得なかった場合は「無効」として1.5mg/kgの増量の対象とされた。無効例といったん20%以上の改善を達成した後に50%以上の悪化を来した「疾患再燃」例に増量を行った。

 全360例のうち、1年間の追跡を完遂した患者は329例であり、このうち220例(67%)は増量を必要としなかった。また、増量が行われた109例のうち9例には不適切な増量がなされており、実際に増量が必要であった患者は「無効」53例、「疾患再燃」47例の計100例(30%)であった。

 増量回数は「1回増量」(IFXの用量4.5mg/kg)が59例、「2回増量」(6mg/kg)が21例、「3回増量」(7.5mg/kg)が13例であり、増量後の改善率はそれぞれ86.4%、81.0%、92.3%であった。しかし、「4回増量」(9mg/kg=最大用量)を要した7例の患者については、増量後にも改善は得られなかった。

 増量を要した患者の血中IFX濃度は、増量を必要としなかった患者より概して低濃度であった。血中濃度低下の原因として、薬物に対する抗体の産生が疑われるが、今回の検討では増量を要した患者群において抗体陽性率が高くなっておらず、増量後はほとんどの患者で十分な血中濃度のIFXが認められた。つまり、血中濃度低下の原因は、薬物に対する抗体とは別のところにあるものと考えられる。

 以上より、活動性RA患者の大部分は、IFX 3mg/kgでコントロールが可能であるが、必要な場合は増量を図ることにより、より多くの患者で良好なコントロールが得られることが示された。また増量を要する理由は、主として血中IFX濃度の低下であることがわかったが、どのような属性の患者でなぜ血中濃度低下が起こるのかという理由は明らかではなく、今後の検討課題として残された。