インフリキシマブIFX)は、関節リウマチRA)に対するきわめて有用な治療薬だが、IFX投与中の患者に対する整形外科手術は、感染症をはじめとする副作用リスクを増加させるのではないかと懸念する声もある。しかし、わが国の市販後全例調査PMS)のデータを解析した埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科の竹内勤氏は、IFX投与中に整形外科手術を実施した患者においても、重篤な副作用の発現率は増加せず、疾患改善効果についても、手術を行っていない患者と変わりなく良好だったことを、ポスターセッションで報告した。

 このPMSには、IFXによる治療を受けた5000例のRA患者が登録されている。そのなかには、IFX投与中に滑膜切除術や人工関節置換術などの手術を受けた患者も270例(5.4%)含まれていた。これらの手術を受けた患者(OS群)とその他の患者(非OS群、n=4730)の背景因子を比較すると、年齢、性別、合併症の有病率、メトトレキサート(MTX)の用量、ステロイド併用率などに有意な差は認められなかったが、前者では後者に比してRA罹病期間が有意に長く、疾患ステージも有意に進行していた。

 IFX投与開始から6カ月間の副作用の発現率は、OS群が28.5%、非OS群が28.0%で、両群は同等だった。重篤な副作用発現率も、OS群が6.7%、非OS群が6.1%と同等。副作用と重篤副作用の発生臓器やその頻度にも両群間に差は認められなかった。最も懸念された重篤感染症の発症率は、OS群3.3%、非OS群4.1%と同等であった。

 竹内氏らは、両群における6、14、22週目の有効性の比較も行っている。有効性は、担当医師により、「著効」「有効」「無効」の3段階で評価された。その結果、「著効」と「有効」を合わせた全般改善率は、両群ともすべての評価時点で90%を超えており、両群間に有意な差は認められなかった。

 以上のように、今回のPMSのデータからは、IFX治療中に整形外科手術を実施されたRA患者においても副作用の発現率が増加することはなく、IFXの治療効果減弱も認められなかった。したがって、外科的治療が必要となる可能性のあるRA患者に対しても、IFXによる治療を躊躇する理由はなく、積極的にIFX投与を考慮してよいものと考えられた。