わが国では、関節リウマチRA)に対する初の生物学的製剤であるインフリキシマブIFX)について、世界でも例をみない市販後全例調査PMS)を実施しており、IFXの安全性と有効性に関する貴重な情報を発信している。その推進を担う埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科教授の竹内勤氏は、本学会で、このPMSに関連する3つの演題をポスターセッションで発表。重篤感染症とその危険因子に焦点を当てた本演題では、IFX使用者における重篤感染症の発現率は4.0%であったこと、年齢、呼吸器疾患の合併、ステロイドの使用が危険因子として同定されたことを報告した。

 PMSの登録者数は5000例にのぼる。登録者は全例、メトトレキサートMTX)との併用のもと、規定の用法・用量によるIFX治療を受けたRA患者であり、6カ月間にわたり、発症したすべての有害事象が毎月集計されている。解析の結果、6.2%の患者に重篤な副作用の発症が認められた。なかでも最も高率にみられたのは重篤感染症であり、その頻度は4.0%であった。

 重篤感染症を発症した患者(n=202)では、その他の患者(n=4798)に比して高齢で、疾患ステージが進行し、罹病期間が長く、糖尿病や呼吸器疾患の有病率が高く、ステロイドの使用率が高いという特徴が認められた。これらの因子を独立変数とした多変量解析の結果、年齢、呼吸器疾患の合併、ステロイド使用が重篤感染症の独立した危険因子として同定された。

 重篤感染症の内訳は、細菌性肺炎1.6%、ニューモシスティス肺炎(PCP)0.4%、帯状疱疹0.3%、結核0.3%、敗血症0.2%などであった。IFX投与開始からこれらの感染症が発症するまでの平均日数は、52.4日(敗血症)〜103.1日(結核)であった。細菌性肺炎と敗血症の発症はIFX投与開始直後からコンスタントに認められたのに対し、PCPと帯状疱疹、結核の発症が認められ始めたのは、IFX投与開始から約1カ月後以降であった。

 以上のように、IFX治療による重篤感染症の発症頻度と危険因子、発症時期の特徴が明らかにされた。本検討においてハイリスクグループと同定された高齢者や呼吸器疾患有病者、ステロイド使用者には、より厳重な注意を払うことが大切だろう。各感染症の発症時期には差があり、IFX投与時には、投与直後から細菌性肺炎や敗血症に注意し、約1カ月後からはPCPや帯状疱疹、結核にも注意すべきであることが示唆された。