関節リウマチRA)に対する抗TNFα療法は、術後の重篤感染症を増加させるとの報告がある。しかし、東京女子医科大学東医療センター整形外科の神戸克明氏らはポスターセッションの発表で、インフリキシマブIFX)の手術成績への影響を検討し、IFXにより術後感染症のリスクが増大することはなかったことを報告。さらに、滑膜切除術とIFXの相乗効果によって治療成績が向上する可能性を示した。

 神戸氏の施設では、これまでに193例のRA患者にIFX治療を行い、うち43例(男性7例、女性36例、平均年齢46歳)に手術を施行している。手術内容の内訳は、人工膝関節置換術10例、人工股関節置換術4例、人工肩関節置換術3例、人工肘関節置換術3例、足趾形成術3例、脊椎手術2例、手関節形成術1例、関節鏡下滑膜切除術15例、骨折2例であった。また、手術施行はIFX投与後、平均37日目であった。

 全43例における術後感染症の発症は、足趾形成術施行例と脊椎手術施行例に各1例、計2例に認められたが、いずれも表層感染で、深部感染ではなかった。神戸氏らは、感染の危険因子として、性別、糖尿病の罹患、ステロイド投与、抗リウマチ薬(DMARDs)投与、リウマトイド因子陽性の5つを推測し、これらを独立変数とするロジスティック回帰分析を行った結果、糖尿病の罹患のみが有意な危険因子として抽出された(オッズ比:1.854、P=0.042)。これらの結果から、糖尿病罹患例では術後感染症に注意が必要と考えられた。

 一方、患者のCRP値は、IFX投与と手術により著明に低下した。また、術中に採取した滑膜組織では、破骨細胞形成抑制因子(OPG)と破骨細胞誘導因子(RANKL)の双方の発現が認められた。これは、RAのために正常に回転しなくなっていた骨代謝が回復し、骨吸収と骨形成がバランス良く起こっているものと考えられた。さらに、軟骨組織の病理学的所見からは、滑膜の修復が生じていることも示唆された。

 これらの事実は、IFX投与患者における滑膜切除術の施行は、滑膜が産生するIL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインを抑制することになるため、IFXによる抗炎症作用を助け、CRPの沈静化とDASスコアの改善につながるとの可能性を示唆する。神戸氏らは、「滑膜切除術はIFXの効果減弱に対するサルベージとしても有用かもしれない」との見解を示した。