わが国では、インフリキシマブIFX)に併用するメトトレキサートMTX)の最大用量は8mg/週と規定されているが、5000例の症例を集めたIFXの市販後全例調査PMS)では、8mg/週を超える処方例も散見される。埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科の竹内勤氏らは、こうした「高用量」MTX処方患者と通常の「低用量」処方患者の疾患改善度副作用の発現頻度と発現パターンを比較した結果、両群の安全性に大きな差はない一方、効果に関しては若干、高用量群が優れるとの可能性を指摘、ポスターセッションで報告した。

 このPMS登録患者は全例がMTXの併用投与を受けており、平均MTX投与量は7.3±2.0mg/週であった。このうち、8mg/週を超えるMTXを処方されていた患者は541例(10.8%;高MTX群)であり、平均投与量は11.6±2.7mg/週であった。一方、8mg/週以下のMTX処方患者4459例(低MTX群)の平均投与量は6.8mg/週であった。低MTX群の患者は、高MTX群の患者に比べて高齢で、RA罹病期間が長く、疾患ステージも進行していた。

 IFX投与開始から6カ月間の副作用発現率は、低MTX群が27.5%、高MTX群が32.4%であり、高MTX群で有意に高率であった(P=0.020)。有意差が認められた副作用のカテゴリーは、消化管障害(2.2% vs 5.0%、P<0.001)と代謝・栄養障害(0.1% vs 0.6%、P=0.047)であった。高MTX群では、消化管障害の中でも特に悪心(1.1% vs. 2.6%、P=0.006)と嘔吐(0.4% vs 1.1%、P=0.032)の頻度が高かった。しかし、重篤な副作用の発現率は、低MTX群6.1%、高MTX群6.7%と同等であった。

 担当医師の判定に基づく有効性評価において、「著効」または「有効」と判定された症例は、両群とも6、14、22週目のすべての評価時点において90%を超えており、両群間に有意差はみられなかった。しかし、「著効」の割合は、6週目で38.8% vs 46.9%(P=0.001)、14週目で34.5% vs 41.7%(P=0.002)、22週目で33.5% vs 38.6%(P=0.029)と、いずれの評価時点においても高MTX群のほうが有意に優っていた。

 以上のように、IFXとともに高用量のMTX投与を受けた患者では、通常用量のMTX投与を受けた患者に比べて全副作用の発現率は増加していたものの、重篤な副作用の発現頻度が増加することはなく、概して忍容性は良好と考えられた。一方で、高用量のMTX投与により高率に「著効」が得られたことは、現行のMTX用量の上限規定に疑問を投げかけるものだと言えよう。