生物学的製剤の登場などによって、関節リウマチRA)に対する治療が関節の修復をもたらす可能性があることは、無作為化臨床試験の結果からも指摘されている。シャープスコア変法の提唱者として知られるオランダ・マーストリヒト大学病院リウマチ科教授のDesiree van der Heijde氏らは、各関節レベルでの検討から、そうした修復のほとんどが、腫脹がないか、腫脹が改善した関節で起こることを示唆する解析結果を得た。研究成果は6月14日の一般口演で報告された。

 van der Heijde氏らは、関節の修復は炎症のない関節で起こりやすいとの仮説を立て、今回の検討を行った。検討には、TEMPO試験のデータベースを利用した。TEMPO(Trial of Etanercept and Methotorexate with Radiographic Patient Outcomes)試験では、メトトレキサート単独(M)、エタネルセプト単独(E)、メトトレキサート+エタネルセプト併用(M+E)の有用性が比較されたが、そのうちM群またはM+E群に割りつけられた患者(計440例)の手と手首、足の32関節(計1万2848関節)について、ベースラインと12カ月後のびらんスコアを同じ関節の腫脹スコア(絶対値および変化)と比較した。

 治療や経過を知らされていない2人の読影者が独立にそれぞれの画像を2回ずつ読影し、各関節のびらんスコアと腫脹スコアを評価した。腫脹スコアは0〜3の4段階とし、1関節につき4回の読影のうち、少なくとも1回でびらん変化スコアがマイナスで、残りの読影が変化なしであれば、関節の修復が起こったとみなした。1関節当たりの平均びらん変化スコアは、それぞれの読影者の最初の読影からの平均スコアを用いて算出した。

 その結果、1万2848関節のうち249関節で修復がみられた。この249関節のうち、腫脹が残っていたのは23関節(9%)、腫脹がないのは226関節(91%)であり、腫脹に変化がみられなかった(変化スコア 0)のは116関節、腫脹が改善した(変化スコア-1〜-3)のは133関節であった。また、修復群で腫脹に変化がなかった116関節のうち、8関節は腫脹が残っており、108関節は腫脹がなかった。腫脹が改善した133関節のうち、腫脹が残っていたのは15関節のみであった。腫脹の改善と修復の間には有意な関係が認められた(p=0.0001)。

 一方、びらんスコアの平均変化を、「腫脹が持続、ベースラインの傷害なし」「腫脹が持続、ベースラインの傷害あり」「腫脹がないまたは改善、ベースラインの傷害なし」「腫脹がないまたは改善、ベースラインの傷害あり」の4群に分けて比較すると、スコアの平均変化がマイナス、すなわち修復は、「腫脹がないか、または改善、ベースラインの傷害あり」のサブグループのみで認められた。

 van der Heijde氏は以上の結果を踏まえ、「びらんスコアのマイナス変化(修復)は、腫脹が完全に回復した傷害関節か、腫脹がない傷害関節でもっぱら起こる。一方、びらんスコアのプラス変化(進行)は、腫脹が持続する傷害関節で起こる。このことは関節裂隙狭小化スコア(JSN)でも同様」と結論づけていた。