妊娠中には、関節リウマチRA)が軽快する場合があることは古くから知られていたが、新たな研究の結果、妊娠中には抗リウマチ薬の休薬や減薬を余儀なくされるにもかかわらず、疾患活動性が有意に改善することが確認された。170人の患者を対象にした初の前向き研究の成果で、これまでも多数の報告があるものの後ろ向き研究しかなく、疾患の定義もまちまちだったという。オランダ・エラスムス大学ロッテルダム校医療センターのYael de Man氏が、6月14日の一般口演で報告した。

 Man氏らは、少なくとも妊娠第1期(0〜13週)と第3期(28週〜41週)に来院したRA患者170人を対象として、抗リウマチ薬の利用状況、28関節の痛みと腫脹CRP値を測定した。可能なら妊娠前から追跡を開始し、各妊娠期と出産後6週、12週、26週まで調査した。疾患活動性は、DAS28(本研究ではDAS28-CRP-3値)で計測した。疾患の増悪や軽快は欧州リウマチ学会(EULAR)の定義に基づいて、集計した。

 その結果、妊娠第3期をピークに疾患活動性が急激に改善し、出産後、再び悪化していくことがわかった。妊娠第1期にはDAS28値が平均3.7だったが、第3期には平均3.4(n=170)へ、有意かつ顕著に減少した(P=0.003)。症状が軽快した患者の比率の推移を見ると、妊娠第1期には17%だが、妊娠第3期には26%に増え、出産後第26週には20%に減少した。

 第1期から第3期の疾患活動性の変化をEULAR規準で評価すると、良好(good response)が11%(14/122人)、改善(moderate response)が28%(34/122人)、非改善(no response)が61%(74/122人)で、約4割の患者で症状の改善が見られた。

 出産後には、ほぼ4割の患者で症状の再燃が起きていた。出産6週と同26週の間、重度の再燃(severe flare)をみたのは7%(9/138人)、中等度(moderate flare)は31%(43/138人)だった。

 抗リウマチ薬の使用状況をみると、妊娠中の使用率は57%だったが、出産後には82%に急増した。特に大きく増えたのはメトトレキサート(MTX)で、妊娠前と妊娠中には全く使われていなかったが、出産後6週には20%弱、12週には約30%、26週には約40%と大きく増えていた。生物学的製剤も妊娠中には使われていなかったが、出産後は26週時までに、利用比率が10%近くに増加した。

 Man氏は、「妊娠中の女性ホルモンの分泌とRAの病態には複雑な関連があり、今後、新たなRAの予防法や治療手段の開発につながる可能性がある」としていた。