強直性脊椎炎AS)など脊椎関節症をめぐっては、近年、その診断や治療に大きな進歩がみられる。ドイツ・シャリテ大学医学部リウマチ科(ベルリン)のJoachim Sieper氏は、開幕初日のプレナリー(注目演題)セッションで講演。脊椎関節症でみられる炎症や関節傷害について新しい知見が得られつつあり、その炎症の抑制に抗TNF製剤が有効であることなどがわかってきたことを紹介した。

 脊椎関節症には、強直性脊椎炎乾癬性関節炎/脊椎炎炎症性腸疾患と関係する関節炎/脊椎炎反応性関節炎未分化型脊椎関節症が含まれる。いずれも最終的には、最も重篤な脊椎関節症サブタイプである強直性脊椎炎に至る可能性がある。脊椎関節症は主な症状により、軸性(脊椎)および末梢性(四肢)に大別され、前者は骨髄炎と、後者は滑膜炎および骨髄炎とそれぞれ関係することが知られている。

 Sieper氏によると、近年、画像診断や免疫組織学的研究が大きく進歩し、MRIを用いた画像診断により、X線画像に変化が現れる前の段階で、関節の急性炎症を捉えることができるようになった。免疫組織学的研究では、ASでの免疫反応に軟骨と軟骨由来の抗原が重要な役割を果たすことを示唆する知見が得られている。例えば、股関節置換術を受けたAS患者の大腿骨頭を用いた検討では、軟骨下にT細胞が存在し、その細胞数は軟骨が破壊された部位よりも軟骨が残っている部位のほうが多いことが示された。

 これらの知見から、ASの免疫病理学変化が急性炎症とともに始まること、ASの炎症がしばしば振動性であること、炎症が鎮静化したときに修復組織の骨化が始まること、などがわかってきた。

 治療についても、抗TNF製剤が、従来の治療に抵抗する炎症を抑制するのに有効であることが明らかになってきた。

 例えば、AS患者279例を対象とした試験(Arthritis Rheum. 2005;52:582-91)では、インフリキシマブ5mg/kgで24週間治療したところ、61.2%の患者がASAS International Working Group基準で20%の改善(ASAS20)を示し、プラセボ群(19.2%)よりも著しく高値であった。病状の改善を示す他の指標やQOLなども、インフリキシマブ投与群で有意に改善した。

 同様の結果は、エタネルセプトやアダリムマブでも報告されている。「MRIで観察すると、抗TNF製剤は脊椎や仙腸骨の急性炎症を速やかに抑制し、その効果は少なくとも2年間認められる。治療開始後短期間で骨密度が増加することも観察されている」(Sieper氏)。

 現在、抗TNF製剤によるAS治療をめぐっては、その終末病態である骨増殖を抗TNF製剤が抑制するのかどうか、また、抑制するとすればいかに抑制するのか、早期の治療によって骨増殖を防止できるのかなどの点が議論されている。Sieper氏は、「近い将来、これらの疑問に答える治療戦略が注目されることになるだろう」と述べ、講演を締めくくった。