欧米諸国に比べて結核感染率が高い日本では、インフリキシマブの臨床適応にあたり、その高い有効性に期待がもたれる半面、結核への懸念が指摘されていた。こうしたなか、登録患者7000例という大規模な使用成績調査により、本邦での実態が明らかにされたことの意義は大きい。本調査における結核の発現頻度は0.3%ときわめて低かったことが報告された。6月23日のポスターセッションにて、本邦でのインフリキシマブの発売元である田辺製薬でMedical Affairsを務める多月氏らが発表した。

 今回提示されたデータは、既に6カ月の追跡期間を終えた5000例での解析。結核が発症した14例の平均年齢は66.1歳(43〜76歳)で、このうちツベルクリン反応が陽性だった症例は6例、胸部X線所見にて結核既往を認めた者が10例であった。なお、14例とも結核予防を目的とした治療開始前の抗結核薬投与は施行されていなかった。結核発症までのインフリキシマブ投与回数は平均3.4回、治療開始から結核発症までの期間は平均103.1日(50〜184日)であった。病型は、肺結核が7例、その他の結核が7例であった。転帰としては12例が回復し、2例が結核以外の要因で死亡した。

興味深いことに、結核発症を登録順の1000例ごとにみると、後期になるほど発症率が著明に低下している。その背景には抗結核薬の予防投与の普及があり、それが発症率低下に寄与したものと考えられた。実際に、最初の1000例(登録1〜1000番)では、抗結核薬の予防投与が行われた症例が13.5%、結核発症例は6例であったが、以後、登録を追う毎に抗結核薬の予防投与率が上昇し、最後の1000例(登録4000〜5000番)では予防投与率は25.5%、結核発症は1例にまで減少している。

同氏らは、「結核発症例の減少には、問診ツベルクリン反応胸部X線撮影などの投与前スクリーニング、抗結核薬の予防投与の普及が寄与したものと考えられる」と結んだ。