関節リウマチ(RA)患者では、冠動脈疾患による死亡率の上昇や血管内皮機能の低下が報告されている。英ロンドン大学のM. Wong氏らは、インフリキシマブ投与患者における血管機能を検討し、6月24日のポスターセッションで発表した。

 RA患者27例を二重盲検法によりインフリキシマブ(3mg/kg)群とプラセボ(生理食塩液)群に割り付けし、54週間投与した。プラセボ群では、24週以降はインフリキシマブ投与に切り替えた。脈波伝播速度(PWV:pulse wave velocity)の測定により動脈壁の硬化度を、また、上腕動脈の反応性充血による血流依存性血管拡張反応(FMD:Flow-mediated dilation)の測定により血管内皮機能を検討した。

 結果、プラセボ群では54週間の治療前後でPWVに変化が見られなかったが、インフリキシマブ群では治療前に比して56週時点でPWVが有意に改善していた(p=0.014)。また、血流依存性血管拡張反応に関しては、56週時点のプラセボ群とインフリキシマブ群の比較において、有意差はないものの、インフリキシマブ群で改善傾向が認められた。

 TNFαは動脈硬化における炎症性反応を介する機序に関与するとともに、TNF-α増加からアディポネクチン低下、そしてさらなるTNFα増加という悪循環を形成して、インスリン抵抗性や動脈硬化を増悪させるものと考えられている。一方、RAの原因には未だ不明な点も多いが、近年の研究からはTNFαなどの炎症性サイトカインが重要な役割を果たすことが明らかにされている。そうしたことから、抗TNFα療法による動脈硬化の改善に期待が持たれていた。本学会でも、TNF-α阻害薬が関節リウマチ患者における脳血管障害を抑制したといった血管壁保護効果を示唆する演題が散見され、注目の高さが伺われた。本検討においても、インフリキシマブによりPWVが改善しており、RA患者の心血管イベント抑制を期待させる知見であった。