関節リウマチ患者(RA)では、罹患に起因してリンパ腫の発症リスクが上昇することが知られている。欧州のコホート研究によれば、約1.9倍のリスク上昇が示されたという(Askling ら、2005年の報告より)。特定の治療法がリンパ腫の発症に影響を及ぼすか否かということはRA診療医の注意をひく問題であるが、米国リウマチ性疾患データバンクのF. Wolfe氏はTNFα阻害薬の影響を検討した。本演題は、6月24日のポスターセッションで報告された。

 解析対象は、1998〜2005年に米国リウマチ性疾患データバンクに登録されたRA患者2万2151例。比較対照として、同データバンクの非炎症性筋骨格疾患(MSD)患者6302例および、米国腫瘍協会(NCI)によるコホート(Surveillance, Epidemiology, and End Results:SEER)のデータを用いた。

 その結果、一般人口を代表するSEERの患者と比べてRA患者のリンパ腫発症率は2倍、またMSD患者と比べた場合のオッズ比は1.9であった。

 さらに同データバンクのRA患者に関して、各種背景因子によるリンパ腫発症リスクのオッズ比を算出したところ、TNFα阻害薬投与によるリスクのオッズ比は1.25(95%信頼区間0.46-2.07, p=0.38)であり、有意差はなかった。有意差をもってリンパ腫発症リスクを増大させていた背景因子は、年齢(オッズ比1.04、1歳増加につき)ならびに女性(オッズ比2.04)などであった。

 同氏は「リンパ腫発症リスクはRA患者で確かに上昇するが、TNFα阻害薬の投与はリスク因子ではないであろう」と考察した。