オランダで実施されたBeSt試験は3年次までの追跡が進み、本学会でも様々な視点からのサブ解析データが報告され、参加者の注目を集めている。6月24日のポスターセッションでは、オランダ、ライデン大学のW. B. Van Den Hout氏から、医療コストとQOLの関連性を調べた解析結果が報告された。

 BeSt試験は、従来の抗リウマチ薬(DMARDs)やインフリキシマブによる新旧4つの治療戦略で関節リウマチ(RA)患者を治療し、臨床症状や関節破壊の抑制を比較した試験である。対象は、DMARDsによる治療歴のない早期(罹病期間2年以内)かつ高疾患活動性の患者508例で、これらを次の4つの治療戦略群に割り付け、追跡を行っている。第1群はDMARDs単剤の切り替え(DMARDs単独療法群)、第2群はDMARDsの上乗せ(step-up療法群)、第3群は治療初期から大量のステロイドを含むDMARDの併用(step-down療法群)を行い、第4群はインフリキシマブ療法から治療を開始する(インフリキシマブ療法群)。

  研究グループは、EuroQolとSF-36を用いてQALY(Quality adjusted-life years:QOLで重み付けした生存年数)を算出。その結果、いずれの評価指標を用いた場合でもインフリキシブ療法群が他の3群よりも有意に優れていた。

 一方、コストを計算すると、DMARDs単独療法群が2万ユーロ、step-up療法群が1万6000ユーロ、step-down療法群が1万8000ユーロ、インフリキシマブ療法群が2万9000ユーロであった。その内訳をみると、試験薬のコストはインフリキシマブ群が最も高かったが、試験薬以外のコストについては差がなかった。

 また、インフリキシマブ療法群では試験の進行とともにインフリキシマブ投与患者の割合が減少し、それに伴って同剤投与にかかるコストも減少した。反対に残りの3群ではインフリキシマブが導入された患者が増えたため、試験薬のコストは2年後ではインフリキシマブ療法群と同等の群もあったという。

 同氏はさらに、human-capital methodという手法を用いた解析を行っており、それによるとインフリキシマブ療法群では、残りの3群に比べて患者の就労時間の維持効果が大きく認められているため、同薬投与にかかるコスト分を十分に補填していると試算され、「インフリキシマブによるQOLの改善は、経済的にもベネフィットをもたらす」とまとめた。