スペインSantiago大学病院のJuan Jesus Gomez-Reino氏

 従来から、コホート研究により関節リウマチ(RA)患者は生命予後が悪いことが知られている。抗TNFα療法は、臨床症状の改善や関節破壊の抑制など、高い治療成績をあげているが、生命予後に及ぼす影響についてはほとんど示されていない。スペインのSantiago大学病院のJuan Jesus Gomez-Reino氏は、自国のRA患者のデータベースBIOBADASERを用いて、抗TNFα療法を受けた患者の死亡リスクを検討し、本療法が生命予後の改善に寄与していることを示した。この解析結果は、6月23日のポスターセッションで発表された。

 解析対象は、インフリキシマブエタネルセプトアダリムマブのいずれかによる治療を受け、BIOBADASERに登録されたRA患者5341例。比較対照として、同じくスペインのRA患者コホートEMECARから生物学的製剤が投与されていない789例のデータを使用した。なお、これら2つのRA患者データベースから得られた死亡リスクをもとに相対リスク比を算出する際の標準データとして、同国の一般人口における死亡リスク(INE,2002年)を用いた。

 まず、総死亡数については、生物製剤投与患者(BIOBADASER)が61/1万962患者・年、非投与RA患者(EMECAR)が75/2433患者・年であり、抗TNFα療法を受けた患者群では非投与RA患者群に比べ57%の有意な死亡リスク低下が認められた。

 死因別に両データベースを用いて一般人に対する死亡相対リスク比を算出すると、冠動脈疾患ではTNFα阻害薬投与患者が0.61、非投与患者が0.94、悪性腫瘍では各々0.16、0.94であり、いずれもTNFα阻害薬投与患者の方が低かった。
 
 同氏は、「今回の解析から、RA患者の死亡リスクは抗TNFα療法によって低減しうることが示された。抗TNFα療法は症状を改善、関節破壊の進行を抑制するとともに、患者の生命予後にも好影響を与えている」と考察している。