スペインVall d’Hebron University HospitalのJose Baselga氏

 進行性乳癌患者に対し、経口のマルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブを経口の抗悪性腫瘍薬カペシタビンと併用すると、プラセボとカペシタビンを投与した場合に比べて有意に無増悪生存期間PFS)を延長することが、フェーズ2試験で明らかになった。この成果は、9月20日から24日にドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、スペインVall d’Hebron University HospitalのJose Baselga氏が発表した。

 進行性乳癌患者に対し、経口のマルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブを経口の抗悪性腫瘍薬カペシタビンと併用すると、有意に無増悪生存期間(PFS)を延長することが、フェーズ2試験で明らかになった。この成果は、9月20日から24日にドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、スペインVall d’Hebron University HospitalのJose Baselga氏が発表した。

 ソラフェニブは血管内皮細胞成長因子受容体(VEGFR)1から3や血小板由来成長因子受容体(PDGFR)-βなどを標的とし、癌細胞の増殖と血管新生を阻害する。国内では根治切除不能または転移性の腎細胞癌、切徐不能な肝細胞癌に対し承認されている。

 現在、進行性乳癌に対するソラフェニブの有効性を評価する国際的なフェーズ2bの無作為化試験4件を集めたTrials to Investigate the Efficacy of Sorafenib in Breast Cancer(TIES)プログラムが進行中である。今回はその中から、カペシタビンとの併用を評価したSOLTI-0701試験の結果について、試験の代表を務めるBaselga氏が報告した。

 カペシタビンとソラフェニブの併用については、すでにフェーズ1試験で安全性と実現の可能性が確認されている。

 SOLTI-0701試験では、局所進行性または転移性の乳癌でHER2陰性の患者229人を、ソラフェニブ400mgを1日2回とカペシタビン1000mg/m2を1日2回、14日間(1サイクル21日)投与しその後7日間休薬する群と、ソラフェニブの代わりにプラセボとカペシタビンを併用する群に無作為に割り付けた。

 その結果、ソラフェニブ併用群は115人、プラセボ群は114人となり、平均年齢は55.1歳と55.4歳であった。

 主要評価項目であるPFSは、中央値がソラフェニブ併用群で6.4カ月、プラセボ群で4.1カ月であった(ハザード比=0.576、p=0.0006)。ソラフェニブ併用群の疾患が進行するリスクは42%減少した。
 
 全奏効率については、ソラフェニブ併用群38.3%、プラセボ群30.7%で有意差はなかった(p=0.1229)。完全奏効、部分奏効、安定状態はソラフェニブ併用群でそれぞれ1.7%、36.5%、43.5%、プラセボ群で0.9%、29.8%、37.7%であった。疾患の進行はソラフェニブ併用群で10.4%とプラセボ群で23.7%だった。

 安全性評価の対象となった112人でのソラフェニブ併用群の忍容性は良好で、新しい有害事象は観察されなかった。ソラフェニブ併用群で頻度が高かったグレード3以上の有害事象は手足症候群などであったが、有害事象のため治療中止となったのはソラフェニブを併用した群で15%、プラセボ群で7%であった。

 カペシタビンとソラフェニブの併用が全生存期間を延長するかどうか、手足症候群に対する支持療法は何か、この併用療法によるQOLへの影響についてはまだ検討中である。また、ソラフェニブと他の薬剤(タキサン、ゲムシタビン、アロマターゼ阻害薬)との併用についても研究が進められているという。

 Baselga氏は「今回の結果から、他の化学療法と併用で投与する場合、ソラフェニブは乳癌治療に新たな価値をもたらす可能性が示唆された」と話した。