東北大学病院呼吸器内科の井上彰氏

 非小細胞肺癌で、上皮細胞成長因子受容体EGFR)に変異のある患者にはファーストラインとしてゲフィチニブを投与した方が、カルボプラチン/パクリタキセルを投与した場合に比べ、統計学的に有意に無増悪生存期間(PFS)を延長し、全生存期間(OS)も有意ではなかったが延長する傾向が確認された。日本で行われたフェーズ3試験「NEJ002試験」の結果、明らかにされたもの。試験は登録患者200人の段階の中間解析で有効中止となった。成果は9月20日から24日にドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で東北大学病院呼吸器内科の井上彰氏(写真)らが発表した。

 このフェーズ3試験では、EGFRに変異を持つ非小細胞患者を、ゲフィチニブを1日当たり250mg投与する群とカルボプラチンAUC6とパクリタキセル200mg/m2を3週置きに投与する群に分けた。主要評価項目はPFSだった。患者登録は2006年4月から始まり、2008年12月に200人に到達した。2009年5月に当初から予定していた中間解析が行われ、有効中止の決定が決まり、患者の登録は230人で終了した。最初の200人の患者を対象に完全解析が行われた。

 ゲフィチニブ群には99人が登録されたが1人不適格だったため、98人で安全性と効果の解析が行われた。カルボプラチン/パクリタキセル群は101人が登録されたが、1人が不適格、1人が投与を受けず、3人が効果を判定するまでに試験から離脱したため、安全性の評価は99人、有効性の評価は96人で行われた。

 試験の結果、ゲフィチニブ群は完全奏効(CR)が4人、部分奏効(PR)が69人で奏効率は74%に上った。カルボプラチン/パクリタキセル群は、CRは0人、PRが29人で奏効率は29%で両群の間には統計学的に有意な差(p<0.001)があった。PFS中央値はゲフィチニブ群が10.4カ月、カルボプラチン/パクリタキセル群が5.5カ月で、ハザード比0.357(95%信頼区間:0.252-0.507、p<0.001)で、ゲフィチニブ群が統計学的に有意に改善した。ゲフィチニブの効果はEGFRの変異によって、差はなかった。

 OS中央値はゲフィチニブ群が28.0カ月、カルボプラチン/パクリタキセル群が23.6カ月で、ハザード比0.793(95%信頼区間:0.485-1.296、p=0.354)で、統計学的には有意ではないが、ゲフィチニブ群で延長される傾向にあった。2年生存率はゲフィチニブ群が61%、カルボプラチン/パクリタキセル群が45%だった。

 グレード3以上の血液学的副作用はゲフィチニブ群で好中球減少症が1人見られただけだったが、カルボプラチン/パクリタキセル群では白血球減少症が28人、好中球減少症が65人、貧血が6人、血小板減少症が3人に認められた。非血液学的副作用は、ゲフィチニブ群で有意に多かったのはAST/ALT上昇、下痢、皮疹、爪変化、肺炎で、一方のカルボプラチン/パクリタキセル群で有意に多かったのは、便秘、食欲不振、脱毛、神経障害、関節痛だった。