韓国Yonsei Cancer Centerの Hyun Cheol Chung氏

 HER2陽性の進行性胃癌で、標準療法と抗HER2抗体トラスツズマブの併用は、生存期間を延長させることが国際的なフェーズ3試験のToGA試験で明らかになっている。しかし、トラスツズマブ併用の有効性は、HER2の発現が強い患者(「IHC 2+でFISH+」もしくは「IHC 3+」)に限られることがToGA試験の後解析で明らかになった。韓国Yonsei Cancer Centerの Hyun Cheol Chung氏(写真)らが、9月20日から24日までドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 ToGA試験は24カ国3807人のうちHER2陽性の進行胃癌患者を対象に、ファーストライン治療として、標準的化学療法(カペシタビンまたは5-FUにシスプラチンを併用)にトラスツズマブを併用した群と化学療法のみの群を比較した。その結果、併用群は化学療法群のみの群に比べて有意に生存期間を延長させた。

 試験のHER2スクリーニングで、実際にデータが得られたのは3667人。HER2陽性をIHC(免疫組織化学法)で「3+」またはFISH(蛍光 in situ ハイブリダイゼーション)で「陽性(+)」としたところ、HER2陽性は810人で、HER2陽性率は22.1%となった。また欧州とアジアでは陽性率は同じで、それぞれ23.6%、23.5%だった。

 IHCとFISHの両方のデータが得られた3280人で、HER2の発現レベルで分けたところ、「IHC 0/1+」の2519人のうち、「FISH +」だったのは190人(7.5%)、「IHC 2+/3+」の761人のうち、「FISH +」だったのは566人(74.4%)だった。

 次に、効果が判定できた患者で生存期間(OS)を比較すると、「IHC 0/ FISH +」もしくは「IHC 1+/ FISH +」の場合、化学療法群のOS中央値は8.7カ月、トラスツズマブ併用群は10.0カ月、ハザード比は1.07(95%信頼区間:0.70-1.62)で有意差はなかった。一方、「IHC 2+/ FISH +」もしくは「IHC 3+」の場合は、化学療法群のOS中央値は11.8カ月だが、トラスツズマブ併用群は16.0カ月と高く、ハザード比は0.65(同:0.51-0.83)となった。

 Chung氏は、「IHCはHER2の検出に有用である」とした上で、ToGA試験ではHER2陽性の22.1%の患者が対象とされたが、今回の結果から考えて、HER2陽性と評価できるのは「IHC 0/ FISH +」もしくは「IHC 1+/ FISH +」を除いた、「IHC 2+/ FISH +」もしくは「IHC 3+」の16.6%の患者であるとした。

 そして、HER2検査アルゴリズムとして、「IHC 0」もしくは「IHC 1+」であればFISHの状態にかかわらずHER2陰性とし、「IHC 2+」であればFISHや銀を用いるSISHによる検査を行い、その結果が陽性であればトラスツズマブ治療を行うとした。また、「IHC 3+」であればFISHの検査は不要で、トラスツズマブ治療が可能であるとした。