米ファイザー社のA.Gualberto氏

 非小細胞肺癌に対する抗I型インスリン様成長因子受容体(IGF-IR)抗体製剤CP-751871(figitumumab)の効果は、腫瘍細胞のIGF-IR発現と血漿中の遊離IGF-1で予測できる可能性が明らかになった。米ファイザー社のA.Gualberto氏(写真)らが9月20日から24日までドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 CP-751871は、完全ヒトIgG2型モノクローナル抗体で、IGF-IRに結合し、受容体の分解を誘導する。一般に癌細胞の浸潤は上皮系細胞(分化型)から間葉系細胞(未分化型)への転換(上皮間葉転換;EMT)を介して起こり、成長因子受容体は非小細胞肺癌においてEMTの調節に働くと考えられている。

 Yale大学の165検体を用いた分析で、細胞のフェノタイプを上皮型、転換型、間葉型に分け、Eカドヘリンとインスリン受容体基質1(IRS-1)、IRS-2、IGF-2、IGF-IR、IGF-2Rの発現レベルを調べた。

 その結果、上皮型ではEカドヘリンとIGF-2、IGF-IRのレベルが高く、転換型ではIRS-1、IRS-2、IGF-2、IGF-2Rのレベルは高く、EカドヘリンとIGF-IRレベルは中レベル、間葉型ではすべて低レベルだった。

 フェーズ2試験の45検体を用いたAQUA(Automated Quantitative Analysis)でも、転換型では間葉型に比べて、Eカドヘリン、IRS-1、IGF-IRの発現レベルが高く、CP-751871を含む化学療法の奏効率が転換型では71%であるのに対し、間葉型では32%だった(p=0.04)。

 次に、血漿中の遊離IGF-1と無増悪生存期間(PFS)の関連性を見たところ、CP-751871の10mg/kg投与では、遊離IGF-1が0.54ng/mL未満で3.2カ月、0.54ng/mL以上で3.87カ月となり、相対ハザード比は1.97だった。また、CP-751871の20mg/kg投与の場合は、遊離IGF-1が0.54ng/mL未満で4.9カ月、0.54ng/mL以上で6.03カ月となり、相対ハザード比は1.95だった。

 このため研究グループは、「遊離IGF-1はNSCLCのEMTを誘導し、遊離IGF-1レベルが上昇した患者では特にCP-751871の効果が高い傾向が見られた」とした。そして、「IGF-IR発現と遊離IGF-1はEカドヘリンとIGF-IR、IRS1-1、遊離IGF-1はCP-751871からベネフィットを得る患者を同定するのに役立つ。特にIGF-IR発現と遊離IGF-1が独立した効果予測マーカーになる」とまとめた。