国立がんセンター東病院肝胆膵内科の仲地耕平氏

 日本人の切徐不能の膵癌患者におけるフェーズ2試験で、エルロチニブゲムシタビンの併用療法は、有効性と安全性の面で有用であることが示された。成果は、9月20日から24日にかけてドイツ・ベルリンで開催された第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、国立がんセンター東病院肝胆膵内科の仲地耕平氏(写真)らが発表した。

 エルロチニブはゲムシタビンとの併用で、切除不能の膵癌患者の生存期間と無増悪生存期間(PFS)をゲムシタビン単剤と比べて延長することがカナダ国立癌研究所のフェーズ3試験(NCIC PA.3 Study)で報告されている。しかし日本では、膵癌に対するエルロチニブとゲムシタビンの併用は承認されていない。

 仲地氏らはフェーズ2試験を実施し、日本人患者におけるエルロチニブとゲムシタビンの併用について、安全性と有効性を評価した。

 エルロチニブは100mg/日を経口で連日投与し、ゲムシタビンは1000mg/m2を1、8、15日に静注し、1サイクルを28日として、8サイクルまでの実施とした。

 対象としたのは切徐不能の膵癌患者106人(男性56人、女性50人、年齢中央値62歳)。局所進行性17%、転移性83%で、転移部位は肝臓が53%で最も多かった。

 エルロチニブとゲムシタビンの併用について1サイクルの用量制限毒性(DLT)を評価した第一段階では、グレード3の下痢が1人に発生したのみであり、試験は第二段階に進められた。

 最も頻度が高かった有害事象は発疹で93.4%に観察されたが、軽度から中等度のものが多く、グレード3以上の発疹は5.7%だった。治療関連死亡として、消化管出血で1人が死亡した。

 治療関連の間質性肺疾患(ILD)様のイベントは9人(8.5%)に発生したが、グレード4以上は発生せず、いずれの症例も回復または改善が可能であった。 

 その他に多く観察された有害事象は食欲不振(75.5%)、白血球数減少(80.2%)、血小板数減少(72.6%)、ヘモグロビン値低下(71.7%)などだった。

 有害事象によるエルロチニブの減量は14.2%、エルロチニブの中断は59.4%で、7日を超える中断は33.0%、14日を超える中断は14.2%だった。

 有効性については、全生存期間の中央値は9.23カ月、1年生存率は33%、PFSの中央値は3.48カ月であった。測定可能な標的病変が1つ以上あった64人の奏効率は20.3%であった。

 ゲムシタビンは、エルロチニブの薬物動態に影響を与えないことも明らかになっている。エルロチニブの薬物動態に対するゲムシタビンの作用を検討した国内の過去の試験の結果と、今回の試験の結果を比較しても、統計学的な有意差はなかった。

 今回の結果から、進行性膵癌の日本人患者においてエルロチニブとゲムシタビンの併用の全体的な忍容性は良好であることが分かった。この併用が有効性と生存の転帰に寄与する結果が示され、仲地氏は「NCIC PA.3 Studyと一致する結果」と話している。