市立函館病院の畑中一映氏

 転移性大腸癌にイリノテカンS-1を併用するIRIS療法に抗血管内皮成長因子抗体ベバシズマブを併用することが有効である可能性が明らかとなった。国内で行われたフェーズ2試験で安全性には問題がなく、抗腫瘍効果も確認された。成果は9月20日から24日までドイツ・ベルリンで開催されている第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で市立函館病院畑中一映氏(写真)によって発表された。

 このフェーズ2試験は2007年10月から2009年3月までに国内の9施設で行われ、53人の患者が登録された。1人の患者が治療を拒否したため、52人のデータが解析された。患者の年齢中央値は63.5歳(48〜82歳)で、全身状態は全員がPS0だった。

 1サイクルを4週間として、1日目と15日目にイリノテカン100mg/m2とベバシズマブ5mg/kgを投与し、S-1は1日目から14日目まで体表面積に応じて40mgから60mgを1日2回投与した。

 試験の主要評価項目である安全性については、グレード4は好中球減少症が3例出ただけだった。グレード3以上で多かった副作用は好中球減少症(25%)、貧血(10%)、下痢(15%)、高血圧(19%)だった。

 抗腫瘍効果は完全奏効(CR)が1人で、部分奏効(PR)が28人、安定状態(SD)が19人で、奏効率は55.8%だった。IRIS療法のみを転移性大腸癌患者を対象に行った結果が既に発表されており、奏効率は52.5%だった。無増悪生存期間中央値、全生存期間中央値はどちらもまだ到達していない。