英Cardiff大学のT.Maughan氏

 進行手術不能大腸癌を対象にしたファーストラインにおいて、オキサリプラチン5-FUをベースにしたレジメンに抗上皮成長因子受容体抗体製剤セツキシマブを加えた場合、KRAS遺伝子野生型の患者でもオキサリプラチンと5-FUのみの群と全生存期間、無増悪生存期間には差がないことが無作為化大規模臨床試験MRC COINで明らかとなった。オキサリプラチンベースの化学療法とセツキシマブの併用は、生存期間の延長には有効ではないことが示されたことになる。成果は、9月20日から24日にドイツ・ベルリンで開催されている第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で英Cardiff大学のT.Maughan氏(写真)によって発表された。

 臨床試験は臓器機能が良好で、手術不能進行大腸癌患者1630人を2群に分けて行われた。2005年3月から2008年5月まで、英国とアイルランドの109病院で無作為化された。オキサリプラチンと5-FUのみを投与した群は、オキサリプラチン85mg/m2、静注5-FU400mg、葉酸175mgを1日目に投与し、5-FU2400mgを46時間持続静注するmFOLFOXレジメンを2週間置きに行う投与するか、1日目にオキサリプラチン130mg/m2、1日目から14日目までカペシタビン1000mg/m2を1日2回投与するXELOXレジメンを3週置きに行った。前者のmFOLFOXレジメンは66%、後者のXELOXレジメンは34%に実施された。セツキシマブを加えた群は毎週セツキシマブを投与した。

 化学療法のみの群には815人が登録された。そのうち80%でKRAS遺伝子の変異の解析が行われ、367人がKRAS遺伝子が野生型だった。一方、化学療法にセツキシマブを加えた群には815人が登録された。82%でKRAS遺伝子の変異の解析が行われ、362人がKRAS遺伝子が野生型だった。

 試験の結果、主要評価項目であったKRAS遺伝子野生型患者の全生存期間(OS)中央値は、化学療法のみ群が17.9カ月、セツキシマブを加えた群では17.0カ月だった。推定ハザード比は1.038で、セツキシマブによる延長効果はなかった。KRAS遺伝子変異型の患者ではOS中央値は、化学療法のみの群は14.8カ月、セツキシマブを加えた群は13.6カ月だった。KRAS遺伝子、NRAS遺伝子、BRAF遺伝子が全部野生型の患者でも、OS中央値は化学療法のみ群が20.1カ月、セツキシマブを加えた群では19.9カ月と両群に差はなかった。

 無増悪生存期間(PFS)中央値についても、KRAS遺伝子野生型の患者で化学療法のみの患者で8.6カ月、セツキシマブを加えた群で8.6カ月と差がつかなかった。12週時点の奏効率は、KRAS遺伝子野生型の患者で化学療法のみの群は50%、セツキシマブを加えた群は59%で、セツキシマブを加えた方が効果が高いことがわかった。

 セツキシマブを投与した群ではKRAS遺伝子型に関わらず、グレード3/4の非血液毒性が有意に増加した。化学療法のみの群では有意に多くなった。化学療法のみの群では57%の患者に発現したのに対して、セツキシマブを加えた群では74%に発現した。治療関連死、60日以内の全死亡について両群で差はなかった。