国立がんセンター中央病院の加藤健氏

 転移性大腸癌セカンドライン療法であるイリノテカンS-1を併用するIRIS療法は、標準療法の1つであるFOLFIRI療法に対して、無増悪生存期間(PFS)において非劣性であることが明らかとなった。国内で行われた進行大腸癌を対象とした初めてのフェーズ3試験FIRISで示されたもの。イリノテカンと経口5FU剤の併用がFOLFIRI療法と非劣性であることを示した初めての発表となった。また、前治療にオキサリプラチンが含まれている場合には、IRIS療法の方が良い傾向を示した。経口投与が可能な患者は、IRIS療法に置き換わることになりそうだ。

 成果は、9月20日から24日にドイツ・ベルリンで開催されている第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で国立がんセンター中央病院の加藤健氏(写真)によって発表された。

 FIRIS試験はイリノテカンによる治療を受けたことがなく、1レジメンの化学療法治療歴があり、全身状態が比較的よく、臓器機能が適切な患者を対象に実施された。主要評価項目はPFSだった。

 2006年1月から2008年2月までに、426人の患者が登録された。FOLFIRI群(4週間を1サイクルとし、1日目と15日目にl-ロイコボリン200mg/m2と150mg/m2のイリノテカン、400mg/m2の5FUを急速静注し、続いて5FU2400mg/m2を46時間に渡って持続静注)とIRIS群(4週間を1サイクルとして、1日目と15日目にイリノテカン125mg/m2を投与し、S-1は40mgから60mgを1日2回2週間連続して投与し、2週間休薬する)に213人ずつ無作為に割り付けられた。

 試験の結果、PFS中央値はFOLFIRI群が5.1カ月(95%信頼区間:4.2-6.0)で、IRIS群が5.8カ月(95%信頼区間:4.5-6.0)となり、PFSの調整ハザード比は1.007(95%信頼区間:0.879-1.319)で非劣性の検定p値は0.039で、非劣性が証明された。

 全生存期間中央値は、FOLFIRI群が18.2カ月(95%信頼区間:15.8-20.2)で、IRIS群が19.5カ月(95%信頼区間:15.4-23.5)となり、補正ハザード比は0.909(95%信頼区間:0.699-1.181)だった。奏効率はFOLFIRI群が16.7%、IRIS群が18.8%だった。

 また、オキサリプラチンを投与された経験のある患者では、PFS中央値は、FOLFIRI群が3.9カ月、IRIS群が5.7カ月だった。オキサリプラチンを投与されていない患者では、PFS中央値は、FOLFIRI群が7.8カ月、IRIS群が6.0カ月だった。

 グレード3/4の副作用プロファイルは、両群で異なっていた。好中球減少症がFOLFIRI群52.1%、IRIS群36.2%、下痢ではFOLFIRI群4.7%、IRIS群20.5%、嘔吐がFOLFIRI群4%、IRIS群は2%、粘膜炎/口内炎がFOLFIRI群0.5%、IRIS群2.9%、倦怠感がFOLFIRI群3.3%、IRIS群8.6%、発熱性好中球減少症がFOLFIRI群0.9%、IRIS群4.8%だった。