マルチキナーゼ阻害剤スニチニブの転移性腎細胞癌に対する安全性と有効性は、日本人、中国人以外のアジア人と非アジア人の間で差はなく、患者は投与に十分耐えることができ、有効であることが明らかになった。52カ国246施設で実施されている拡大アクセスフェーズ3B試験(A6181037)の結果で示された。ただし、アジア人でもアジアに住んでいる患者とオーストラリアを中心とした非アジア地域に住むアジア人に分けると、アジアに住むアジア人に血小板減少など多い副作用があることも判明した。成果は9月20日から24日にドイツ・ベルリンで開催されている第15回欧州癌学会(ECCO)・第34回欧州臨床腫瘍学会ESMO)で、韓国Seoul National University HospitalS.Lee氏によって発表された。

 フェーズ3B試験は、組織学的に確認された腎細胞癌患者を対象に、1日当たり50mgを4週間連日投与して2週間休薬する方法で行われた。副作用の発現に応じて37.5mg、25mgに減量した。

 325人のアジア人(7%)のデータと4046人(93%)の非アジア人のデータが解析された。患者背景は、人種以外、アジア人と非アジア人で同様だった。アジア人のうち35%の患者はアジア地域以外で投薬を受けていた。

 非血液学的毒性では、下痢がアジア人42%、非アジア人45%、倦怠感がアジア人40%、非アジア人37%、口内炎がアジア人39%、非アジア人26%、手足症候群がアジア人39%、非アジア人で23%だった。下痢の頻度は、アジア地域で投薬を受けた患者で49%だったのに対して、非アジア領域で投薬を受けた患者では29%と低かった。

 グレード3/4の非血液学的毒性をみると、手足症候群がアジア人で13%、非アジア人で6%、倦怠感がアジア人と非アジア人ともに8%、下痢がアジア人で7%、非アジア人で5%などだった。グレード3/4の血液学的副作用は、白血球減少症が、アジア人(アジアで投薬)で29%、アジア人(アジア以外で投薬)が9%、非アジア人が12%だった。血小板減少症はアジア人(アジアで投薬)で30%、アジア人(アジア以外で投薬)が17%、非アジア人が13%だった。

 研究グループの一人である香港Queen Mary HospitalのP.Kwong氏は、居住地域で、副作用が出た原因について「遺伝的な交雑が起きていることや環境の影響が考えられる」と話した。

 一方、効果は、奏効率がアジア人で22%、非アジア人で17%だった。無増悪生存期間中央値はアジア人で8.7カ月(95%信頼区間:8.1-11.1)、非アジア人で10.9カ月(95%信頼区間:10.5-11.3)だった。全生存期間中央値はアジア人で18.9カ月(95%信頼区間:15.5-23.5)、非アジア人で18.4カ月(95%信頼区間:17.4-19.2)だった。