旭川医科大学循環・呼吸・神経病態内科学の佐藤伸之氏

 アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)単独で降圧不十分の場合に併用する降圧薬として、腎保護の観点から利尿薬Ca拮抗薬CCB)のどちらが優れているのか、結論は得られていない。わが国で行われたCAMUI試験の登録症例を対象にした検討から、ARBに利尿薬を併用すると尿中アルブミン排泄量が低下する一方、CCBを併用するとeGFRが維持されるなど、それぞれの異なった利益が認めることが明らかになった。旭川医科大学循環・呼吸・神経病態内科学の佐藤伸之氏らが、6月17日までイタリア・ミラノで開催されていた欧州高血圧学会(ESH2013)で発表した。

 CAMUI試験では、ARBを1カ月以上投与しても降圧目標に到達しなかった65歳以上の高血圧患者(142例)を対象に、ARBをロサルタンとヒドロクロロチアジドの配合剤(以下、Los/HCTZ合剤)に切り替える群(Los/HCTZ合剤群、74例)とARBにアムロジピンを併用する群(ARB/CCB併用群、68例)に無作為に割り付け、12カ月間追跡した。

 主要評価項目は、3カ月後の収縮期/拡張期血圧。Los/HCTZ合剤群ではベースライン時の155.9/82.3mmHgが3カ月後には137.8/75.3mmHgに、ARB/CCB併用群では同様に155.3/83.0mmHgが132.3/72.0mmHgに低下し、収縮期血圧(P<0.01)、拡張期血圧(P<0.05)ともにARB/CCB併用群の方が有意に低値だった。しかし6カ月後以降は、両群の血圧値に有意差は認められなかった。また、両群の降圧目標達成率はどの評価時点においても差は見られず、12カ月後の降圧目標達成率は、Los/HCTZ合剤群66.7%、ARB/CCB併用群61.7%だった。

 尿中アルブミン排泄量は、Los/HCTZ合剤群では3カ月後から低下し、12カ月後まで10mg/g・Cr前後で推移したのに対して、ARB/CCB併用群ではベースラインからほとんど変化せず、3カ月後(P=0.005)および12カ月後(P<0.001)の評価では、群間に有意差が認められた。

 推算糸球体濾過量(eGFR)は、ARB/CCB併用群ではベースライン時の67.3mL/min/1.73m2が12カ月後でも68.3mL/min/1.73m2とほとんど変動せず、Los/HCTZ合剤群では68.6mL/min/1.73m2から63.0mL/min/1.73m2へと低下傾向にあった。ただし両群で、血清クレアチニン値に有意な変動は認められなかった。

 また、血圧変化量と尿中アルブミン排泄量、および血圧変化量とeGFR変化量との間には、全症例、Los/HCTZ合剤群、ARB/CCB併用群いずれの解析でも、有意な相関は認められなかった。

 多変量解析では、12カ月後の尿中アルブミン排泄量、およびeGFRの寄与因子として、どちらも降圧薬レジメンが同定され、ARBと利尿薬の併用は尿中アルブミン排泄量を低下させるが、eGFRを低下させる因子でもあることが示された。

 以上から佐藤氏は、「高齢高血圧患者ではARBに併用する降圧薬として、利尿薬には尿中アルブミン排泄量の抑制効果が、CCBにはeGFRの維持効果が認められた。両薬剤にそれぞれのメリットがあることになり、患者の状態にあわせた選択が可能といえるだろう」とまとめた。