英国University of OxfordのRichard McManus氏

 脳卒中歴や糖尿病などのあるハイリスク患者に対し、血圧を自己測定し、あらかじめ決められた指示に従って自己調節を行うと、1年後の収縮期血圧値は、外来血圧測定による通常の治療と比べて有意に低減することが分かった。この血圧自己管理プログラムにより、服用する降圧薬の数は増えたものの、それに伴う有害作用の増加は認められなかった。これは、英国University of OxfordのRichard McManus氏が、6月14日から17日までミラノで開催されていた欧州高血圧学会(ESH2013)で発表した。

 McManus氏らは、35歳以上で、高血圧症の診断を受け、脳卒中、冠動脈性心疾患、糖尿病または慢性腎疾患のいずれかの病歴がある人で、収縮期血圧値が130mmHg、拡張期血圧値が80mmHg超、服用する降圧薬が3種以下の人を対象に試験を行った。被験者の条件としては、血圧の自己測定・自己調節を行う意思があることだった。

 同氏らは被験者552人を無作為に2群に分け、一方には通常の治療を、もう一方には通常の治療に加え、血圧自己測定とその結果に基づき、あらかじめ決められた指示に従う自己調節を行った。外来血圧の降圧目標は、収縮期血圧が130mmHgで拡張期血圧が80mmHgとした。自己測定群の降圧目標値は、自己測定血圧が外来血圧より低い傾向があることを考慮に入れ、収縮期血圧が120mmHg、拡張期血圧が75mmHgとした。主評価項目は、12カ月後の外来収縮期血圧値だった。

 患者による自己調整については、自己測定血圧値の値によって、「低い」「正常」「上昇」「高い」の4段階に分け、具体的な指示を示した。たとえば、収縮期血圧値が121〜180mmHg、拡張期血圧値が75〜100mmHgへの「上昇」の場合には、「血圧値が上がり気味です。オレンジの記録をつけて下さい。オレンジの記録が4回以上ある週が1カ月に1週以上ある月が連続して2カ月続いた場合には、薬の変更に関する指示書に従って下さい」とした。

 12カ月後に追跡可能だった自己管理群220人、対照群230人について解析を行った。試験開始時の平均年齢は、自己管理群が69.0歳、対照群が70.0歳、男性の割合はそれぞれ63.2%と59.6%、平均収縮期血圧は143.1mmHgと143.6mmHg、平均拡張期血圧は80.5mmHgと79.5mmHgだった。糖尿病の割合は、自己管理群が43.6%、対照群が47.0%だった。服用する降圧薬数の平均は、それぞれ1.60、1.64と有意差はなかった。

 12カ月後の補正後収縮期血圧値は、自己管理群では128.4mmHgだったのに対し、対照群では137.5 mmHgだった。両群の補正後の差は、9.1(95%信頼区間:6.0〜12.2)mmHgだった。12カ月後の服用降圧薬数は、自己管理群で有意に増加しており、それによって血圧低減効果が得られたと考えられた。一方で有害事象について見てみると、両群で有意差は無く、自己管理群の降圧薬増加による有害事象増加は認められなかった。

 McManus氏は、脳卒中歴などがあるハイリスク患者についても、血圧の自己管理プログラムには血圧値の低減効果が認められ、「全ての患者にとって可能ではないが、自己管理を進んで行う意思のある患者に対しては提供してくべきだ」と結論づけた。