ロシアの国立予防医学研究センターのE. Platonova氏

 高齢者では、家庭血圧のうち拡張期血圧値の変動幅が大きいことが、心血管死の予測因子になりうることが示された。モスクワ市民の高齢者を対象に行ったコホート研究の成果で、ロシアの国立予防医学研究センターのE. Platonova氏らが、6月17日までイタリア・ミラノで開催されていた欧州高血圧学会(ESH2013)で発表した。

 対象は、2007年から2009年に、モスクワ市民から無作為に選んだ1876人。ベースラインでの背景は、平均年齢が68.5±7.7歳、男性が51%、高血圧の割合は52%、高血圧治療を受けていた人は45%、喫煙者は16%だった。心筋梗塞の既往は9%、脳卒中の既往は8%、糖尿病は11%だった。

 家庭血圧の変動は、各個人の平均家庭血圧の標準偏差(SD)とした。家庭血圧は、1日に朝と夕に2回ずつの測定を行い、これを4日間実施した(初日のデータは解析対象からは除外)。測定値によって5分位に分け、変動幅のアウトカムに対する影響を比較検討した。主要アウトカムは、全死亡、心血管死、非心血管死、癌死とした。

 収縮期血圧、拡張期血圧のそれぞれの変動幅と評価項目との関連性については、Cox比例ハザードモデルによるハザード比で検討した。

 対象は正常血圧群、高血圧群に分け、さらにそれぞれを無治療群と治療群に分けて解析した。平均5年間の追跡の結果、全体では216人の死亡が確認された。内訳は心血管死が132人、癌死50人を含む非心血管死が75人などだった。

 収縮期血圧/拡張期血圧の平均SDは、男性で5.9±3.2/3.6±1.8mmHg、女性で6.0±3.3/3.5±1.6mmHgだった。5分位ごとにみたSDは、たとえば男性の拡張期血圧のSDはQ1からQ3が2.5〜4mmHg、Q4が5mmHg、Q5が14mmHgなどとなっており、Q5が極端に変動幅が大きいパターンを示した。これは男女ともに同様で、また収縮期血圧と拡張期血圧でも変わらなかった。

 5分位ごとに、性別、年齢、降圧薬治療の調整後のハザード比を求めたところ、拡張期血圧のみで、Q5群がQ1-Q3群に対して有意に心血管死と全死亡のリスクが高かった(それぞれハザード比:1.85、95%信頼区間:1.22-2.79、P=0.004とハザード比:1.47、95%CI:1.05-2.04、P=0.02)。なお、全死亡に占める心血管死は50%と大半を占めていた。

 このことから演者らは、高齢者においては、家庭血圧のうち拡張期血圧の日々の変動が大きいことが、心血管死の予測因子になることが明らかになった、と結論した。