森ノ宮医療大学学長の荻原俊男氏

 心血管イベントのリスクが高い高齢高血圧患者に対する降圧薬併用療法として、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)に他剤を併用する場合、Ca拮抗薬CCB)と少量の利尿薬ではどちらがよいかを比較検討するランダム化比較試験、COLM試験の結果が明らかになった。主要評価項目である複合心血管イベントのリスクは、両群で同等だった。イタリア・ミラノで6月17日まで開催されていた欧州高血圧学会(ESH2013)で、森ノ宮医療大学学長の荻原俊男氏が発表した。

 対象は、心血管イベントの既往があるか糖尿病や脂質異常症などの心血管危険因子を持つ65〜84歳の高齢者で、血圧が未治療であれば160/100mmHg以上、既に降圧薬を投与されていれば140/90mmHg以上ある患者とした。2007年4月〜2011年9月に、全国707施設で5658例が登録され、うち2568例がARB+CCB群(以下CCB併用群)に、2573例がARB+少量の利尿薬群(以下、利尿薬併用群)に無作為に割り付けされた。

 使用薬剤は、ARBはオルメサルタン、CCBはアムロジピンまたはアゼルニジピン、利尿薬はヒドロクロロチアジド(12.5mg/日以下)、トリクロルメチアジド、インダパミド(どちらも1mg/日以下)などとした。

 140/90mmHg未満を目標に薬物療法を行い、ARBにCCBまたは利尿薬の併用で目標に達しない場合は、β遮断薬、α遮断薬、ACE阻害薬を追加した。試験はPROBE法で行われ、追跡期間は平均3.3年、解析はintention-to-treatで行った。

 主要評価項目は、致死的および非致死的心血管イベントの複合とした。具体的な項目は、(1)突然死、(2)一過性脳虚血発作(TIA)を含む脳卒中、(3)心イベント(心筋梗塞、再潅流療法の施行、狭心症または心不全の悪化による入院)、(4)腎機能障害(血清クレアチニン値の2倍化、同値2mg/dL以上、末期腎不全)――である。

 また副次評価項目として、(1)心血管死亡、非致死的心筋梗塞、TIAを除く非致死的脳卒中の複合、(2)総死亡、(3)心血管死亡、(4)主要評価項目の各項目、(5)糖尿病の新規発症、(6)心房細動の新規発症、(7)安全性、(8)割り付けされた群からの脱落率――を評価した。

 ベースライン時の患者背景はほぼ同様で、平均年齢(どちらも73.6歳)、男性比率(CCB併用群:51.5%、利尿薬併用群:51.7%、以下同様)、血圧(158.0/87.1mmHg、158.0/86.9mmHg)、BMI(24.3kg/m2、24.2kg/m2)、心拍数(73.1/分、72.9/分)に両群間で有意差はなく、心血管疾患の既往や冠危険因子の保有状況も有意差はなかった。

 降圧薬投与により血圧は、CCB併用群でベースライン時の158.0/87.1mmHgから42週後には132.9/73.2mmHgに低下、利尿薬併用群でも158.0/86.9mmHgから132.9/73.5mmHgに低下した。

 主要評価項目の発生はCCB併用群が116例(4.5%)、利尿薬併用群が135例(5.3%)で、利尿薬併用群に比べたCCB併用群のハザード比(HR)は0.83(95%信頼区間[95%CI]:0.65-1.07、P=0.16)であり、両群間に有意差は認められなかった。

 主要評価項目について、性別、年齢(境界値:75歳)、BMI(25kg/m2)、推算糸球体濾過量(60mL/min/1.73m2)、糖尿病の有無、脂質異常症の有無などを指標に層別解析したところ、75歳未満、糖尿病なし、脂質異常症なしのそれぞれのサブグループでCCB併用群のリスクは有意に低くなったが、交互作用の解析ではいずれも有意とはならなかった。

 さらに75歳で層別して各イベントのリスクを見たところ、致死的および非致死的脳卒中においては、75歳以上でCCB併用群のリスクが低い傾向にあり(HR:0.63、P=0.05)、年齢との間に有意な交互作用を認めた(P for interaction=0.01)。

 また、重篤な有害事象の発生はCCB併用群が8.2%、利尿薬併用群が9.8%(P=0.046)、薬剤に関連した重篤な副作用による脱落率は0.2%対0.6%(P=0.026)と、両群ともCCB併用群で有意に少なかった。

 解析結果に基づき荻原氏は、「主要評価項目である心血管イベントのリスクは、両群で同等に減少した。また層別解析から、75歳以上における脳卒中についてはCCB併用の方がリスク減少の点で有利とも考えられ、さらに検証が必要だ。副次評価項目の1つである安全性と認容性の評価からは、心血管イベントのリスクが高い高齢高血圧患者に対してはCCB併用の方が好ましい可能性がある」とまとめた。