カナダPHRI-McMaster UniversityのSalim Yusuf氏

 収縮期血圧値が130〜159mmHgの高齢者に対し、既に服用している降圧薬に加え、経口レニン阻害薬アリスキレンヒドロクロロチアジド(HCTZ)またはアムロジピンを投与することで、同血圧値は安全に約10mmHg下げられることが示された。HCTZまたはアムロジピンのみによる降圧効果も、約7mmHgに上った。

 これは、カナダPHRI-McMaster UniversityのSalim Yusuf氏らが行い、結局、未完結に終わったAliskiren Prevention of Later Life OutcomesAPOLLO)試験の結果で、6月14日から17日までミラノで開催された欧州高血圧学会(ESH2013)で発表した。

 同研究グループは2011年1月から、世界17カ国、145カ所で、収縮期血圧値が130〜159mmHgで、年齢が70歳以上、または65歳以上で血管疾患あるいは糖尿病、その他のリスク因子が認められる人を対象に、試験を開始した。当初の研究目的は、血圧が高め、またはステージ1高血圧症の高齢者について、アリスキレン投与による収縮期血圧値の低下と心血管疾患イベントリスクの関連を調べることだった。研究デザインも、被験者総数1万1000人について平均5年間追跡する予定だったが、同研究への出資が途中で打ち切られたため、1759人について2012年5月まで試験を行った。

 被験者の平均年齢は72.1歳(標準偏差:5.2)、女性は813人(46.2%)だった。冠動脈性心疾患歴のある人の割合は22.0%、脳卒中または一過性脳虚血発作は8.1%、末梢動脈閉塞疾患は3.3%、糖尿病は40.6%だった。試験開始前の被験者の平均収縮期血圧は146.4mmHg、拡張期血圧は82.6mmHgだった。

 Yusuf氏らは被験者を無作為に2群に分け、一方にはアリスキレン300mgを(860人)、もう一方にはプラセボを投与した(899人)。さらにそれぞれの群を無作為に2群に分け、一方にはヒドロクロロチアジド(HCTZ)25mgまたはアムロジピン5mgを、もう一方には同プラセボを投与した。

 被験者はまた、ベータ(β)遮断薬やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬といった、降圧薬の服用も継続した。

 その結果、収縮期血圧の平均値は、プラセボ‐プラセボ群に比べ、アリスキレン‐プラセボ群が3.62mmHg、HCTZ/アムロジピン‐プラセボ群が6.76 mmHg、アリスキレン‐HCTZ/アムロジピン群が10.31mmHg、いずれも有意に減少した(P<0.001)。拡張期血圧の平均値についても、1.38mmHg、3.75mmHg、5.09mmHg、それぞれ有意に減少した(P<0.001)。

 血中カリウム濃度が5.5mmol/L超だった人の数は、アリスキレン‐HCTZ/アムロジピン群が10人、HCTZ/アムロジピン‐プラセボ群が2人、アリスキレン‐プラセボ群が5人、プラセボ‐プラセボ群が2人だった。なお、血中カリウム濃度が6.0mmol/L超の人はいなかった。

 元々の主要評価項目であった、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全の統合エンドポイント発生リスクは、減少傾向は見られたものの、被験者数と追跡期間が予定より少なかったために、有意差には至らなかった。プラセボ‐プラセボ群に対するハザード比は、アリスキレン‐HCTZ/アムロジピン群が0.25(95%信頼区間:0.05〜1.18)、HCTZ/アムロジピン‐プラセボ群が0.45(同:0.19〜1.04)だった。

 Yusuf氏は、未完結に終わった同試験の結果について、「不完全な形であっても、重要な意味があると思い発表した。継続すれば、臨床アウトカムの改善を示す可能性が高かったのではないか」と語った。