MSDの岡田真一氏

 ロサルタンヒドロクロロチアジド配合剤(以下、Los/HCTZ合剤)の市販後調査の解析から、わが国の実臨床においても糖尿病合併例と非合併例で降圧効果に差はなく、糖尿病合併高血圧患者に対しても糖代謝、血清電解質、尿酸値などに悪影響を及ぼさないことが明らかになった。MSDの岡田真一氏らが、6月14日からイタリア・ミラノで開催されている欧州高血圧学会(ESH2013)で報告した。

 同薬剤の市販後調査は、わが国の723施設で2007年1月〜2008年12月にLos/HCTZ合剤の投与を開始した患者を対象とし、15カ月経過後の最初の受診日を最終観察時とした。今回の解析では対象を糖尿病合併群と非合併群に層別して、収縮期/拡張期血圧、臨床検査値、有害事象、主治医の判定による有効性を比較検討した。

 登録された患者3060例中、安全性に関する解析の対象者は2863例、有効性に関する解析の対象者は2619例だった。

 有効性解析対象者中、糖尿病合併患者は553例だった。これを糖尿病合併群とし、非合併群(2038例)との間で患者背景を比較したところ、年齢(糖尿病合併群:69.1歳、非合併群:69.4歳)、収縮期血圧(157.1mmHg、156.6mmHg)、血清クレアチニン値(0.83mg/dL、0.80mg/dL)、推算糸球体濾過量(eGFR)(69.5mL/min/1.73m2、68.7mL/min/1.73m2)、血清尿酸値(5.6mg/dL、5.5mg/dL)に有意差はなかった。

 一方、糖尿病合併群では男性比率が高く(51.7%、42.1%)、拡張期血圧(83.4mmHg、86.4mmHg)が有意に低かった(いずれもP<0.0001)。HbA1c(JDS)値は糖尿病合併群7.0%、非合併群5.3%、空腹時血糖値はそれぞれ137.9mg/dL、97.5mg/dLだった。

 血圧はLos/HCTZ合剤の投与開始1カ月後には低下し、その効果は追跡期間を通じて安定して維持された。糖尿病合併群ではベースライン時の157.1/83.4mmHgが15カ月後には134.3/73.2mmHgに、非合併群では156.6/86.4mmHgから132.5/75.2mmHgに低下した(各群のベースラインの収縮期/拡張期血圧に比べ、それぞれ有意差あり、P<0.01)。

 血圧値の推移や変化量は糖尿病合併群、非合併群で同等だった。降圧目標達成率は、対象全体(140/90mmHg未満)では68.7%、糖尿病合併例(130/80mmHg未満)では29.4%だった。

 Los/HCTZ合剤投与後に糖尿病合併群でHbA1c、空腹時血糖値が有意に改善した(P<0.05)。ただし非合併群では有意な変動はなく、この改善は糖尿病の治療による効果と推察された。また血清クレアチニン値は糖尿病合併群、非合併群ともにわずかながら有意に増加し、eGFRも両群で有意に低下した(どちらもP<0.001)。しかし両群で血清電解質などに悪化はみられず、血清尿酸値も非合併群のみで、ベースライン時の5.5mg/dLから5.6mg/dLへの上昇が観察されただけだった(P<0.001)。

 有害事象発現率は糖尿病合併群9.5%、非合併群8.9%と、両群に差はなかった。主治医判定による有効率は、糖尿病合併群95.3%、非合併群95.6%と、両群ともに高かった。

 以上の検討から岡田氏は、「わが国の実臨床において、糖尿病合併高血圧患者に対するLos/HCTZ合剤の安全性と有効性が確認された」と結論した。