ベルギーUniversité Catholique de LouvainのAlexandre Persu氏

 約100人の抵抗性高血圧症の患者に対し腎除神経術を行ったところ、6カ月後の収縮期血圧値は平均で減少したものの、個々の患者では大きなばらつきがあった。また、外来収縮期血圧値の減少幅に比べ、24時間自由行動下収縮期血圧値の減少幅はおよそ3分の1に留まった。さらに、血圧の減少幅について過去の高血圧患者を対象にした無作為化プラセボ対照試験の結果と比較したところ、24時間収縮期血圧減少幅はプラセボ群と有意差がなかった。

 これは、ベルギーUniversité Catholique de LouvainのAlexandre Persu氏らが行った試験結果で、6月14日から17日までミラノで開催されている欧州高血圧学会(ESH2013)で発表した。

 Persu氏らは、抵抗性高血圧症への腎除神経術に関する欧州研究ネットワーク(European Network Coordinating Research on renal Denervation in rHT;ENCOReD)に参加する10カ所の医療機関を通じ、腎除神経術を行った抵抗性高血圧症の患者109人について、その医療記録をもとに、6カ月後の収縮期血圧値の変化を後ろ向きに追跡した。その上で、血圧値の変化について、これまでに発表されている高血圧症の患者を対象とした無作為化プラセボ対照試験であるSyst-Eur試験などの結果から、プラセボ群との比較を行った。

 試験開始時の収縮期血圧の平均値は、腎除神経術群で外来血圧が175mmHg、24時間自由行動下血圧値が157mmHgだった。Syst-Eur試験では、プラセボ群がそれぞれ177mmHgと154mmHg、治療群が178mmHgと153mmHgだった。

 腎除神経術実施6カ月後の血圧値の変化について見てみると、試験開始時の血圧値などで補正後、外来収縮期血圧は−14.2mmHg、24時間収縮期血圧は−5.2mmHg、日中収縮期血圧は−5.6mmHg、夜間収縮期血圧は−4.9mmHgと、いずれも有意に減少していた(いずれもP<0.03)。また、服用する薬も平均4.7種類から4.4種類へと有意に減少した(P=0.001)。

 こうした血圧値の変化について、Syst-Eur試験の結果と比較してみたところ、腎除神経術による外来収縮期血圧の減少幅は、Syst-Eur試験の治療群とプラセボ群の中間にあてはまり、いずれとも有意差があった。一方、腎除神経術による24時間収縮期血圧の減少幅は、Syst-Eur試験のプラセボ群と有意差がなかった。

 さらに、腎除神経術群の血圧減少効果には大きなばらつきがあり、外来収縮期血圧では23%、24時間収縮期血圧では35%の人で、6カ月後血圧値の上昇が認められた。

 なお、腎除神経術と24時間収縮期血圧値低下に関する予測因子について調べたところ、血清クレアチニン値が低いと、血圧値が低下する傾向が認められた。

 Persu氏は、抵抗性高血圧症に対する腎除神経術の効果の一部は、プラセボ効果や、治療を受けていることで患者が行動を変化させることなどで効果が現れる「ホーソーン効果」などによるものである可能性がある、と結論づけた。また、抵抗性高血圧症に対する腎除神経術について、24時間血圧値を主要評価項目にした無作為化試験の実施や、腎除神経術に反応する患者の予測因子について調べる必要がある、と指摘。その上で、腎除神経術は依然として、真の抵抗性高血圧症に対する“最終的手段”である、と結んだ。