ガイドライン・タスクフォース委員長の1人であるRobert Fagard氏(ベルギー、KU Leuven University)

 欧州高血圧管理ガイドラインESH-ESC 2013)が6月15日、イタリアのミラノで開催されている欧州高血圧学会(ESH2013)で発表された。プレナリーセッションに登壇したガイドライン・タスクフォース委員長の1人であるRobert Fagard氏(ベルギー、KU Leuven University)は、診断と生活習慣の改善という視点で新ガイドラインを解説。診断については、家庭血圧の重要性を評価した点を始め、心血管リスクの層別化をこれまでの4つの分類から5つに改訂し、臓器障害やCKD(ステージ3)があるか糖尿病である場合を1つのカテゴリーとして独立させた点などを説明した。

 血圧の測定については、診察室血圧、自由行動下血圧、家庭血圧の3つのカテゴリーに分けられた。その上で、診察室血圧においては、収縮期血圧≧140mmHgかつまたは拡張期血圧≧90mmHgを高血圧と定義した。自由行動下血圧は、日中の場合で収縮期血圧≧135mmHgかつまたは拡張期血圧≧85mmHgを、夜間の場合で収縮期血圧≧120mmHgかつまたは拡張期血圧≧70mmHgを、24時間測定の場合で収縮期血圧≧130mmHgかつまたは拡張期血圧≧80mmHgを、それぞれ高血圧の基準とした。家庭血圧においては、収縮期血圧≧135mmHgかつまたは拡張期血圧≧85mmHgと定めた。

 これらの血圧については、測定法の標準化を図るために、それぞれの測定方法を詳しく規定したことも指摘した。

 また、白衣高血圧、仮面高血圧についても、診察室血圧と自由行動下血圧(日中)あるいは家庭血圧との組み合わせで基準を定めた。たとえば白衣高血圧は、診察室血圧において収縮期血圧≧140mmHgあるいは拡張期血圧≧90mmHgであり、自由行動下血圧(日中)あるいは家庭血圧において収縮期血圧<135mmHgかつ拡張期血圧<85mmHgの場合とした。仮面血圧は、診察室血圧において収縮期血圧<140mmHgかつ拡張期血圧<90mmHgであり、自由行動下血圧(日中)あるいは家庭血圧において収縮期血圧≧135mmHgあるいは拡張期血圧≧85mmHgの場合とした。

 血圧測定の推奨としては、診察室血圧は高血圧のスクリーニングと診断のために推奨される(推奨の度合いはClass1、エビデンスのレベルはB)とした。一方、自由行動下血圧や家庭血圧については、高血圧のタイプ、心血管リスクなどを含めた高血圧の診断を確定するために測定を考慮すべきであるとされた(IIa、B)。

 このほかの大きな改訂点としては、心血管リスクの層別化がこれまでの4つの分類から5つの分類に更新された点がある。ガイドライン2007では、「危険因子3個以上、メタボリックシンドローム、臓器障害、糖尿病」が1つの項目に集約されていたが、新ガイドラインでは、「危険因子3個以上」と「臓器障害、CKD(ステージ3)あるいは糖尿病」の2つに分けられた。これに対応する形で、血圧に応じた心血管リスクにも変更が加えられた。この層別化の見直しにより、高血圧治療の開始についてまとめた表も更新された。

 Fagard氏は、講演の後半で生活習慣の改善について説明。高血圧の治療戦略として、食事や運動などをはじめとする生活習慣への介入は、これまで以上に重要になっていると言及。新ガイドラインでの位置づけは、過去のガイドライン以上に重視されたものになっているとまとめた。