英国Peninsula College of Medicine & DentistryのChris Clark氏

 上腕血圧の左右差は日常診療でよく見られ、末梢血管病変リスクとの関連性が指摘され、末梢血管病変リスクの高い患者集団では血圧の左右差が大きいほど死亡リスクが上昇することが報告されている。しかし、リスクの高くない一般集団を対象とした検討では、一貫した結果は得られていなかった。英国Peninsula College of Medicine & DentistryのChris Clark氏らはメタ解析を行い、プライマリケアで治療を受けている高血圧患者においても、上腕血圧の左右差がある程度以上認められれば死亡リスクが高まることを、6月18日からミラノで開催された第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で報告した。

 Clark氏らは、血管リスクのそれほど高くない高血圧患者について、上腕収縮期血圧の左右差と心血管イベントおよび死亡リスクの関連性を検討した試験を選択し、メタ解析を実施した。

 イタリアで実施されたInCHIANTI研究では、上腕収縮期血圧の左右差のカットオフ値を15mmHgとして、高血圧患者505例を2群に分け、6年間追跡した。その結果、血圧差15mmHg以上の群では同未満の群に比べ、心血管死亡リスクが有意に上昇していた(ハザード比[HR]3.63、95%信頼区間 1.56-8.44、P<0.01)。

 また、スコットランドで実施されたAAA(Aspirin in Asymptomatic Atherosclerosis)研究では、高血圧患者764例を10年間追跡したが、血圧差10mmHg以上の群は同未満の群に比べ、心血管死亡リスクが有意に高かった(HR 3.0、1.3-7.1、P=0.01)。

 これらを基に、上腕収縮期血圧の左右差のカットオフ値を15mmHgとした5試験でメタ解析(1990例)を行うと、血圧差15mmHg以上群における全死亡のハザード比(同未満群に対する)は1.60(1.13-2.27)。有意なリスクであることが示された。

 カットオフ値を10mmHgとし、同様に5試験でメタ解析(2309例)を実施しても、血圧差10mmHg以上の群における全死亡のハザード比は1.60(1.10-2.33)と、やはり有意なリスクだった。

 以上の検討からClark氏は、「プライマリケアで治療を受けている高血圧患者においても、上腕血圧の左右差が10mmHgまたは15mmHg以上の患者では、死亡リスクが上昇する可能性がある」と結論し、「左右差の存在は末梢血管病変の兆候だと考えられ、上腕における血圧差を積極的に調べて管理すべきだ」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)