スウェーデンLund UniversityのP. Svensson-Farbom氏

 クレアチニンやそれに基づく推算糸球体濾過量(eGFR)、シスタチンCは心血管イベントや全死亡の予測因子だが、高齢者や無症候性頸動脈硬化症患者では、シスタチンCはeGFRよりも心血管イベントや全死亡の予測因子として優れているとの報告もある。スウェーデンLund UniversityのP. Svensson-Farbom氏らは、白人中年の健康集団における心疾患イベントなどの予測因子としてシスタチンCは優れていることを、6月18日からミラノで開催されていた第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で報告した。

 対象はMalmo Diet and Cancer StudyMDC)の参加者とした。MDCは大規模な疫学コホートで、1991年から1996年までに中年の健康ボランティア2万8449名が登録された。同コホートから6103名をランダムに抽出し、心筋梗塞あるいは脳卒中の既往のあった143例を除外した上で、血漿シスタチンC、血漿クレアチニン、eGFRなどのデータ欠損がない4650例を解析対象とした。eGFRはCockroft-Gault式およびMDRD式を用いて求めた。

 対象の背景をみると、年齢は57.5歳、男性比率は39.7%、血圧は141/86.8mmHg、血漿クレアチニン値は84.5μmol/L、Cockroft-Gault式によるeGFRは77.0mL/min/1.73m2、MDRD式によるeGFRは74.8mL/min/1.73m2、シスタチンC値は0.78mg/Lであった。

 平均13年間の追跡期間に、初回心血管イベントは435例発生し、心血管疾患による死亡は125例、全死亡は486例であった。

 腎機能がこれらのイベント発生に及ぼす影響を検討するために、腎機能の指標である血漿クレアチニン値、Cockroft-Gault式によるeGFR、MDRD式によるeGFR、血漿シスタチンC値が1標準偏差(1SD)上昇あるいは低下したときのイベント発症のハザード比(HR)を、年齢、性別、降圧薬治療の有無、収縮期血圧、糖尿病の有無、BMI、ウエスト径、血漿HDLコレステロール、血漿LDLコレステロール、喫煙の有無で補正した上で求めた。

 その結果、心血管イベント発症については、血漿シスタチンCだけが有意であった(HR 1.16、95%信頼区間:1.08-1.24、P<0.0001)。心血管死については、血漿シスタチンC(HR 1.28、1.18-1.40、P<0.0001)と血漿クレアチニン(HR 1.22、1.10-1.36、P<0.0001)が、全死亡については、血漿シスタチンC(HR 1.16、1.09-1.24、P<0.0001)のみが有意であった。

 以上の検討からSvensson-Farcom氏は、「白人中年の健康集団においては、シスタチンCが心血管イベント、心血管死、全死亡の予測因子として優れている」との見解を示した。

(日経メディカル別冊編集)