名古屋市立大学心臓・腎高血圧内科学の園田浩生氏

 高尿酸血症は心血管疾患や慢性腎臓病(CKD)のリスクとなることが知られているが、一般住民において尿酸値の上昇をモニターすれば、将来のCKDの発症・進展の予測因子になるのではないか。この仮説を検討するために、7000人を超える日本人の健診データを解析した結果を、名古屋市立大学心臓・腎高血圧内科学の園田浩生氏らが、6月20日までミラノで開催された第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で報告した。

 対象は、年1回、同大学病院に定期健診に訪れる受診者の中から、高血圧、糖尿病、脂質異常症で治療中の患者および、腎機能障害や蛋白尿がみられる患者を除いた健常成人7078人。平均年齢は52.8歳、男性が6割以上を占め(4547人)、BMIは22.6だった。平均123.3/75.8mmHgの正常血圧で、心拍数、空腹時血糖値、コレステロール値、クレアチニン値、ヘモグロビン値などもすべて正常域だった。尿酸値は平均5.3mg/dLだった。喫煙は27.5%(1948人)に認めた。

 推算糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2未満をCKD発症の基準とし、1694日間(中央値)追跡、1年ごとに得られた臨床検査値の変化や登録時の背景の違いをCKD発症者(CKD群)と発症しなかった受診者(非CKD群)で比較し、発症・進展のリスク因子を探索した。

 追跡期間中に568人がCKDを発症した。男性が417人で、1000人・年当たり19人。女性の同13.5人に比べて有意に多かった(P<0.001)。

 登録時の受診者の背景に関して、CKD群が非CKD群に比べて有意に高かったのは以下の項目だった(いずれもP<0.001)。平均年齢(58.8 vs. 52.3歳)、拡張期血圧(77.5 vs. 75.7mmHg)、LDLコレステロール(127.6 vs. 122.2mg/dL)、空腹時血糖値(100.1 vs. 97.7mg/dL)、クレアチニン値(0.84 vs. 0.71 mg/dL)、尿酸値(5.8±1.4 vs. 5.2±1.4 mg/dL)。

 以上の結果に基づき、単変量解析によりCKD発症・進展のリスク因子を検索したところ、年齢、男性、LDLコレステロール値、eGFRが同定された。尿酸値も、オッズ比1.30(95%信頼区間:1.22-1.38、P<0.001)と、有意なリスク因子だった。

 多変量ロジスティック解析では、空腹時血糖値(オッズ比1.01、1.00-1.02、P=0.001)、eGFR(同0.83、0.81-0.84、P<0.001))とともに、尿酸値(同1.09、1.01-1.18、P<0.03)が強いリスク因子として同定された。

 登録時の尿酸値が正常域にあった受診者のみを対象に、多変量ロジスティック解析を試みたところ、同様に空腹時血糖値とeGFRが同定され、尿酸値も、独立したリスク因子となることが明らかになり(オッズ比1.16、1.03-1.30、P=0.02)、尿酸値が将来のCKDの発症・進展に影響することが示唆された。

 園田氏らは、「一般住民の健診データという簡易な指標から、尿酸値が将来のCKD発症・進展の独立したパラメータとなる可能性があることが示された。心血管疾患や腎不全の進展予防に有用となる、きわめて興味深い結果だ」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)