オランダErasmus Medical CenterのP. M. Jansen氏

 アルドステロン受容体拮抗薬は治療抵抗性の高血圧患者における有用性が報告されているが、これまでの検討は観察期間が短めで、降圧効果が長期にわたり持続するかどうかは明確にされていなかった。そこでオランダErasmus Medical CenterのP. M. Jansen氏らは、治療抵抗性の高血圧患者を対象にアルドステロン受容体拮抗薬の長期的な降圧効果をレトロスペクティブに検討したところ、長期にわたり降圧効果が得られることを、6月20日までミラノで開催された第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で報告した。

 対象は2005年5月から2009年9月までの期間に、オランダRotterdamのErasmus Medical Centerと同WaalwijkのTweesteden Hospitalの高血圧外来を受診した患者のうち、降圧薬を少なくとも2剤投与したにもかかわらず血圧コントロール不良で、スピロノラクトンあるいはエプレレノンによる治療を開始した患者とした。

 この期間に175例にアルドステロン受容体拮抗薬が投与されたが、十分なデータがそろっていないなどの理由により52例が除外され、本研究の解析対象は123例となった。除外理由としては、データが不十分(39例)、治療抵抗性ではない(5例)、アドヒアランス不良(3例)、追跡期間が1カ月未満(2例)、血圧測定が不適切(1例)、高血圧治療以外の目的で投与(1例)であった。

 対象の背景については、年齢は56.6歳、血圧は159.7/93.3mmHg、降圧薬の処方数は2〜6(中央値3)で、本態性高血圧が102例、原発性アルドステロン症が21例含まれていた。両疾患群で年齢や血圧値、降圧薬の処方数には有意差はなかった。一方、原発性アルドステロン症患者の方が、Na値やアルドステロン値、アルドステロン/レニン比は有意に高く、K値やレニン活性は有意に低値であった。

 処方内容に関しては、94例にはスピロノラクトンが12.5〜100mg(中央値50mg)投与され、29例にはエプレレノンが25〜50mg(同50mg)投与された。アルドステロン拮抗薬が投与され始めてから初回観察までの期間は1〜66週間(同8週間)、最終観察までの期間は1〜144カ月(同25カ月)であった。

 その結果、本態性高血圧患者でも原発性アルドステロン症患者でも、初回観察時に収縮期血圧と拡張期血圧はともに有意に低下しており、最終観察時には初回観察時に比べて本態性高血圧患者の拡張期・収縮期血圧、原発性アルドステロン症患者の収縮期血圧はさらに低くなっていた。

 追跡期間別に初回観察時からの降圧度を調べたところ、いずれの疾患においても投与期間が長くなるほど血圧は低下しており、5年を超えて投与した患者群で降圧度は最も大きかった。

 降圧効果の予測因子を多変量解析したところ、収縮期血圧についてはベースラインの収縮期血圧と投与期間が、拡張期血圧についてはベースラインの拡張期血圧と治療期間が、それぞれ有意な因子として同定された。

 以上の結果をJansen氏は、「治療抵抗性の高血圧患者ではアルドステロン受容体拮抗薬を追加投与することで最大10年以上にわたり優れた降圧効果が持続し、その効果は本態性高血圧患者でも原発性アルドステロン症患者でも同様に発揮される。ベースラインの血圧値が高く、投与期間が長いほど降圧効果は発揮されやすい」とまとめた。さらに、Jansen氏は「本研究はレトロスペクティブ研究であるため、ランダム化比較試験の実施が待たれるが、これまでのエビデンスからは、アルドステロン受容体拮抗薬の中用量投与は治療抵抗性の高血圧患者に対する優れた治療選択肢になり得る」と語った。

(日経メディカル別冊編集)