ギリシャSotiria HospitalのG. Stergiou氏

 ギリシャにおける高血圧の有病率は約30%だが、残念ながら血圧のコントロール状況は十分でないことが知られている。そこでギリシャSotiria HospitalのG. Stergiou氏らは、実地診療における高血圧治療戦略を検討するDEMANT Studyを実施した。結果は6月18日からミラノで開催された第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で報告され、早い段階からの2剤併用療法は治療戦略として有効であることが示された一方、降圧目標の達成への関心が低い医師が少なくないこともわかった。

 DEMANT Studyはギリシャで実施された全国規模の前向き観察研究である。まずプライマリケア施設、2次・3次医療施設において、毎月30例を超える高血圧患者を診察している医師を全国から選び、その医師が診察した患者を検討対象の候補とした。対象は未治療の成人で、診察室血圧に基づき高血圧と診断され、降圧薬の投与開始を決定した患者とした。登録時に臨床所見、血圧値、心血管リスク因子、処方内容を調べ、その後の3回の受診時に血圧値、処方状況の変化を調べた。受診間隔は医師の判断に任せた。

 このスタディの実施期間は2007年2月から2009年7月で、医師67人に試験への参加を依頼し、60人が受諾した。実際にデータを提供したのは43人(72%)で、プライマリケア施設が28%、2次医療機関が23%、3次医療機関が49%であった。

 登録された高血圧患者は585人(年齢61歳、男性47%)で、29人が脱落し、追跡期間は3.7ヵ月、追跡完遂率は90%。心血管リスク因子の保有率をみると、脂質異常症が77%、肥満が45%、喫煙が26%、糖尿病が17%、心血管疾患既往が10%となっていた。

 降圧治療を開始した際の薬剤数は、単剤が53%、2剤併用が47%であった。両群で患者背景を比べると、2剤併用群は単剤群に比べて年齢が有意に高く、肥満や糖尿病、心血管疾患既往の保有率、治療開始時の収縮期血圧も有意に高かった。

 2剤併用で治療を開始する因子としては、冠動脈疾患既往や2型糖尿病、BMIが30kg/m2超などが抽出された。反対に、新規診断は2剤併用で治療を開始しない因子であった。

 降圧薬を2剤併用している患者の割合は、治療開始時が47%、2回目の受診時が64%、3回目が70%、4回目が71%と、有意に上昇する傾向が認められた。

 血圧コントロール(140/90mmHg未満)達成率については、2回目の受診時が37%、3回目が65%、4回目が82%と、有意な増加傾向があった。その一方、血圧が十分にコントロールされていない(140/90mmHg超)にもかかわらず、降圧薬を変更しなかった医師の達成率は3回目の受診時だと39%、4回目は27%であった。

 初回に処方された降圧薬の種類をみると、単剤群ではARB(41%)が最も多く、以下、Ca拮抗薬(21%)、ACE阻害薬(20%)、β遮断薬(16%)の順であった。2剤併用群では、ARB+利尿薬(42%)が最も多く、ARB+Ca拮抗薬(26%)、ACE阻害薬+利尿薬(12%)、Ca拮抗薬+β遮断薬(12%)、ACE阻害薬+Ca拮抗薬(8%)と続いた。

 以上の結果からStergiou氏は、「ギリシャでは早期から2剤併用療法が行われており、併用療法における薬剤選択はESHのガイドラインに則っていた。しかし、最適な血圧コントロールに関心のない医師は少なくないことも明らかになった」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)