イタリアUniversity of Milano-BicoccaのG. Parati氏

 ARTEMIS(International Ambulatory Blood Pressure Registry: Telemonitoring of Hypertension and Cardiovascular Risk Project)は、Webベースで実施されている世界初の自由行動下血圧モニタリングの国際レジストリーネットワークである。その目的は、プライマリケアと高血圧専門外来で診療されている高血圧患者の24時間血圧のコントロール状況や心血管リスクの管理状況などを評価すること。研究グループを代表してイタリアUniversity of Milano-BicoccaのG. Parati氏が初回の中間解析として、高血圧専門外来受診者を対象に高血圧のタイプ別有病率を地域ごとに検討した結果などを、6月18日からミラノで開催されていた第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で報告した。

 ARTEMISには32カ国の研究者が参加。欧州からは英国、フランス、ドイツ、イタリアなど22カ国、北・中・南米からは米国やカナダ、アルゼンチン、ブラジルなど7カ国、アジアからは日本と中国の2カ国、オセアニアからはオーストラリアが参加している。

 今回の中間解析では、4大陸21カ国の高血圧専門外来40施設を受診した9189例を対象とした。地域別の対象者数は、欧州7522例、南米266例、アジア1190例、オセアニア211例であった。

 患者背景は、年齢56歳、BMI 28kg/m2、ウエスト周囲径99cm、男性比率51%。飲酒習慣のある患者は20%を占め、合併症の保有率は心血管疾患が13%、糖尿病が16%、脂質異常症が32%であった。既に降圧治療を受けていた患者は48%を占めていた。

 対象者全体の診察室血圧および自由行動下血圧は146/88mmHg、130/78mmHgで、地域別にみると、欧州や南米は高めで、アジアやオセアニアは低めであった。また、診察室血圧と自由行動下血圧の相関を調べたところ、収縮期血圧(r=0.511)と拡張期血圧(r=0.566)はともに有意な相関が認められた(順にP<0.0001、P<0.0001)。

 降圧目標が未達成の割合は、診察室血圧(140/90mmHg以上)で評価すると69%、自由行動下血圧(130/80mmHg以上)で評価すると58%で、有意な差があった(P<0.0001)。また、欧州や南米はアジアやオセアニアに比べて、その割合が有意に高かった(P<0.0001)。

 降圧目標が達成できていない割合をタイプ別にみると、孤立性診察室高血圧(白衣高血圧)が23%、仮面高血圧が11%、持続性高血圧が47%であった。地域別の比較では、欧州と南米はアジアやオセアニアに比べて仮面高血圧の割合が有意に低い一方で(9%対24%、P<0.0001)、持続性高血圧の割合は有意に高かった(51%対22%、P<0.0001)。白衣高血圧では有意差は認められなかった(23%対22%)。

 以上の検討からParati氏は、今回の中間解析では地域間の対象例数に偏りがあったものの、世界の高血圧専門外来を受診した患者の高血圧のタイプについて興味深い知見が得られたと述べ、特に欧州や南米ではアジアやオセアニアに比べて、持続性高血圧の割合が高いことを指摘した。

(日経メディカル別冊編集)