イタリアInstituto Auxologico ItalianoのM. Revera氏

 高所では血圧が上昇するなど、高山病のリスクが高まる。炭酸脱水酵素抑制薬であるアセタゾラミドは高山病の予防や治療に使われることがあるが、高所という環境でアセタゾラミドが動脈特性に及ぼす影響はほとんど検討されていない。Highcare-Alps Investigatorsはイタリア-スイスアルプスのMount Rosa(標高4559m)において、アセタゾラミドが動脈特性に及ぼす影響を検討。同研究グループのイタリアInstituto Auxologico ItalianoのM. Revera氏が、6月18日からミラノで開催されていた第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で、その結果を発表した。

 今回の検討は健康ボランティア42人を対象に行い、アセタゾラミド250mgの1日2回投与群とプラセボ投与群のいずれかに無作為に割り付けた。海抜0m地点における試験開始前(SLpre)、試験開始から2日後(SLpost)、高所環境に移動してから6時間後(HA1)、同3日後(HA2)の4つの時点において、拡張期血圧、収縮期血圧、平均動脈血圧、心拍数を測定した。動脈特性については、carotid-femoral PWV(cfPWV)、carotid-radial PWV(crPWV)、Augmentation Index(AI)、心内膜下生存率(subendocardial viability ratio:SEVR)で評価した。

 その結果、高所環境への移動により、プラセボ群では、拡張期血圧、収縮期血圧、平均動脈血圧、心拍数はいずれも上昇した。HA1ではプラセボ群に比べてアセタゾラミド群はいずれの指標も有意に低く、HA2においても拡張期血圧と平均動脈圧は有意に低かった(いずれもP<0.05)。

 cfPWVとcrPWVについては、高所環境に移動しても有意な変動を認めなかった。一方、心拍数75拍/分で補正したAIは、両群ともにSLpostに比べてHA1、HA2で有意に増加し、またSLpost、HA1、HA2のいずれの時点においても、アセタゾラミド群はプラセボ群に比べて有意に低かった(いずれもP<0.05)。

 SEVRに関しては、両群ともにSLpostに比べてHA1では有意に減少した(いずれもP<0.05)。HA2においては、両群ともHA1より有意に上昇し、アセタゾラミド群はプラセボ群より有意に高かった(P<0.05)。

 以上から、高所環境に急激に移動した直後には血圧は上昇し、血管機能は変化するが、アセタゾラミド投与により、その変化の程度はある程度緩和されることが明らかになった。

 Revera氏は、「低圧、低酸素によって引き起こされる血流力学的変化に対するアセタゾラミドのこうした作用は、高山病の予防において有効だと考えられる」と結論し、「低酸素症に関連した諸疾患におけるアセタゾラミドの臨床的有効性を再評価する必要がある」とコメントした。

(日経メディカル別冊編集)