IDACO研究グループのベルギーUniversity of Leuvenの浅山敬氏、ウルグアイUniversidad de la RepublicaのJ Boggia氏

 近年の大規模解析の結果では、BMIと臨床イベントとの間にはJカーブ現象が認められている、つまりBMIが高すぎても低すぎても予後は不良であることが示されている。しかし、血圧値とは独立してBMIがイベント発症のリスク因子になるかどうかを検討した報告はほとんどなく、また、リスク評価において随時血圧(CBP)よりも自由行動下血圧(ABP)の方が優れていることを示した研究報告もなかった。

 こうした背景の下、国際共同研究IDACO(International Database on Ambulatory blood pressure in relation to Cardiovascular Outcome)の研究グループは世界10カ国の患者データをBMIで層別化し、イベント発生リスクに及ぼす影響を検討した。同研究グループのベルギーUniversity of Leuvenの浅山敬氏、ウルグアイUniversidad de la RepublicaのJ Boggia氏らが、6月18日からミラノで開催された第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で、その結果を発表した。

 今回の検討対象は日本をはじめ、ウルグアイ、スウェーデン、中国、デンマーク、ベルギー、ポーランドなどの10コホートから集めた8467例(平均年齢54.6歳、女性47%)で、CBP(140/90mmHg)と昼間ABP(135/85mmHg)を基準にして、正常血圧群4213例、仮面高血圧群1181例、持続性高血圧群2206例、白衣高血圧群867例の4群に分類した。追跡期間中央値は10.6年で、この間に1271例が死亡し、1092例が複合心血管イベントを発症した。

 対象者をBMIにより四分位で分けたところ、BMI22.6以下、同22.6超25.1以下、同25.1超27.9以下、同27.9超となった。各群の背景を比較したところ、人種構成はBMIが高い群ほど欧州人と南米人の割合が増え、アジア人の割合が減った。また、BMIが高い群ほど、喫煙者の割合が少なくなり、降圧治療を受けている人や持続性高血圧、白衣高血圧、糖尿病・心血管疾患の罹患者が多くなっていた。

 CBPはBMIが低い群から順に124.1/74.8 mmHg、128.9/78.2 mmHg、134.6/81.6 mmHg、138.5/85.2mmHgとBMIが高い群ほど高く、24時間ABPも同様に119.3/71.3 mmHg、122.5/72.9 mmHg、126.4/75.1 mmHg、128.9/76.2mmHgとBMIが高い群ほど高かった。

 全対象者をBMIで層別化して、全死亡および複合心血管イベントのハザード比を検討したところ、全死亡ではBMIが最低の群でハザード比が最も高く、Jカーブ現象の様相をやや呈していた。一方、複合心血管イベントはBMIが最高の群でハザード比は高かったが、全体としてはBMIによらずハザード比はほぼ一定であった。

 さらに、対象者を高血圧のタイプ別に分けて、正常血圧群を対照として複合心血管イベントのハザード比を検討した。その結果、持続性高血圧はBMIにかかわらず、すべての群において有意にリスクであった(ハザード比が有意に1を超えていた)。仮面高血圧群ではBMIが低いほどハザード比が高まる傾向が、白衣高血圧群では反対にBMIが高いほどハザード比が高まる傾向がみられた。さらに、仮面高血圧群と白衣高血圧群のこれらの傾向については、反対向きであることが有意に認められた。

 また、全対象者をコホート、性別、年齢で補正した後に、24時間ABP(収縮期)とBMIでそれぞれ4群ずつに分けて複合心血管イベント発生率を調べたところ、血圧値が高いと発生率は高まっていたが、BMIと複合心血管イベント発生率の間には一定の傾向が認められなかった。

 以上の結果から研究グループでは、「全体では、BMIは心血管イベントの予測因子ではないが、白衣高血圧や仮面高血圧ではBMIがリスクに影響していた」との見解を示した。

(日経メディカル別冊編集)