英Brighton And Sussex Medical SchoolのC Rajkumar氏

 超高齢の高血圧患者に対しても、150/80mmHgを降圧目標値として積極的な治療を行うメリットを明らかにしたHYVET試験において、インダパミドによる治療群では、24時間にわたって安定した血圧管理がなされていたことが明らかになった。英国のBrighton And Sussex Medical SchoolのC Rajkumar氏らが、6月20日までミラノで開催された第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で発表した。

 80歳以上の超高齢高血圧患者に対する降圧治療は、安全性と有効性を担保できるのか――。2008年3月に発表されたHYVET(HYpertension in the Very Elderly Trial)試験は、その長年の議論に終止符を打つ可能性を示した。プラセボ群に比べて、利尿薬インダパミド徐放製剤(indapamide SR)による治療群では、全死亡、心血管イベントの著明な抑制が見られた。

 HYVETは、国際多施設共同の無作為二重盲検プラセボ対照試験。登録患者は80歳以上の超高齢高血圧患者3845人で、収縮期血圧(SBP)の平均値は160〜199mmHg、拡張期血圧(DBP)は110mmHg未満だった。以下のいずれかを認める患者は除外した。立位SBPが140mmHg未満、6カ月以内の脳卒中の既往、認知症、日常的な要介護。

 2カ月以上のウォッシュアウト期間を設けたのちに、登録患者を無作為に2群に割り付け、治療群(1933人)にはインダパミドを投与し、プラセボ群(1912人)には、プラセボを投与した。治療群では、降圧目標値を達成の必要に応じてACE阻害薬ペリンドプリル2〜4mgを併用している。評価項目は、脳卒中、全死亡、心血管死などが設定された。

 今回Rajkumar氏らは、HYVETの登録患者の中から24時間自由行動下血圧測定ABPM)の記録がある284人を抽出、そこから試験開始時と治療12カ月時点の両方の記録がある47人(男性16人、女性31人)を検討対象とした。平均年齢は80歳、登録時の外来随時血圧は172/90mmHgだった。

 ABPMは、覚醒時(7時から22時)は30分おきに、睡眠時(22時から7時)1時間おきに記録された。治療群(27人)とプラセボ群(20人)における、昼間、夜間、24時間の血圧値を評価した。

 解析の結果、昼間(8時〜20時)の平均血圧は、治療群では登録時の134mm/75mmHgが、治療12カ月後には、121/70mmHgに低下した。一方、プラセボ群では139/80mmHgが、143/81mmHgと上昇傾向を示した。

 夜間(22時〜6時)の血圧も同様に、治療群では118/68mmHgが、108/62 mmHgに低下したが、プラセボ群では125/73mmHgが、132/73mmHgと上昇傾向を示した。

 24時間の平均血圧は、治療群では、登録時の130/73mmHgが、12カ月後には117/68mmHgに低下した。プラセボ群では、136/78mmHgが、140/79mmHgに上昇した。治療群はSBP平均13mmHg、DBP 5mmHgの改善を示した。一方、プラセボ群ではSBP平均4mmHg、DBP 1mmHgの上昇を認めた。両群間の差は、登録時のSBPで6mmHgだったが、12カ月後には、23mmHgまで拡大していた。

 Rajkumar氏らは本解析結果を踏まえ、インダパミドをベースとした治療が、超高齢者の24時間にわたる良好な血圧コントロールを可能にすると結論づけた。日内変動を的確にとらえるABPMで評価したこれらの結果は、HYVETが示した超高齢患者にも150/80mmHgを目標に積極的な降圧治療を行うことで、全死亡を21%抑制できるという成果を、より高い精度で裏付けるものだろう。

(日経メディカル別冊編集)