自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科の平田浩三氏

 降圧目標達成には平均2.5〜3.5種類の降圧薬が必要とされる現状において、利便性と経済性に優れた合剤は、わが国の降圧薬市場における裾野を着実に広げつつある。自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科の平田浩三氏らは、ARBベースの治療でコントロール不良のため、ARB/利尿薬合剤への切り替えを行った高血圧患者188人を1年間にわたって追跡した多施設共同研究 CONCERTOを実施。切り替えにより、収縮期血圧(SBP)20mmHg、拡張期血圧(DBP)10mmHgの降圧効果が得られたことを報告した。この結果は、6月20日までミラノで開催された第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で発表された。

 対象は、ARBベースの降圧薬治療を1カ月以上継続しているにもかかわらず、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライ2004(JSH2004)」が掲げる降圧目標を未達成の本態性高血圧患者188人。そのうち171人の解析が行われた。平均年齢は63.9歳、84人が男性で、36人(21%)が糖尿病、60人(35%)が脂質異常症、26人(15%)が冠動脈疾患を合併していた。

 切り替え前に投与されていた降圧薬の内訳は、ARB単剤が68人、ARB+Ca拮抗薬が86人、ARB+β遮断薬が24人、ARB+α遮断薬が3人だった。これらの患者には、それまでのARBを中止後、ウォッシュアウト期間を設けずにロサルタン50mg/ヒドロクロロチアジド(HCTZ) 12.5mg配合剤の投与を開始、1年間の追跡が行われた。評価項目は、切り替え3カ月後、12カ月後の血圧値、BNP値、心胸郭比、尿蛋白などとした。

 その結果、SBPは登録時の156mmHgから137mmHg(3カ月後)、135mmHg(12カ月後)へ、DBPは同様に89mmHgから79mmHg、79mmHgへと有意に低下した(いずれもP<0.01)。切り替え後12カ月時点で、42.6%の患者がJSH2004のSBP降圧目標を達成、72.2%の患者がDBP降圧目標を達成した。

 BNP値は登録時の36.8pg/mLから31.3pg/mL(3カ月後)、32.8pg/mL(12カ月後)へ、心胸郭比は49.3%から48.1%(12カ月後)へと有意に低下した(すべてP<0.01)。また、心電図上の左室肥大所見の頻度も有意に減少していた。

 また、半定量評価(0〜3)による尿蛋白の平均値は、登録時の0.27から0.16(3カ月後)、0.24(12カ月後)へと低下した(各P<0.05)。

 一方、12カ月後時点のNa濃度(142 → 141mEq/L)や尿酸値(5.6 → 5.8mg/dL)などで若干の変動を認めたが、いずれも軽微な変化で、糖・脂質代謝パラメータを含む他の生化学的検査値には変化は認められなかった。

 以上の結果から、ARBベースの降圧治療でコントロール不良な高血圧患者におけるARBからARB/HCTZへの切り替えは、著明な降圧効果が期待できるだけでなく、臓器保護の観点からも有用なことが示された。

(日経メディカル別冊編集)