大動脈起始部の血圧である中心血圧は、加齢に伴う動脈硬化の進行とともに上昇し、心血管疾患発症や心血管死のリスク因子であることが示されており、末梢で測定した高血圧の治療とともに、中心血圧の評価や治療も重要であるとされている。一方、最近の各国の高血圧診療ガイドラインでは、降圧目標を達成するために、単剤で降圧効果が不十分な場合には、積極的に作用機序の異なる降圧薬を併用することを推奨しているのが現状だ。

 こうした背景の下、米国Ralph H Johnson VA Medical CenterのJ. Bacile氏らは、米国でよく使われるサイアザイド系利尿薬(HCTZ)と、アリスキレン/HCTZの配合剤の降圧効果を比較したACTION(Aliskiren HCTZ in older patients with stage 2 hypertention)試験を実施しており、サブ解析として中心血圧低下効果を検討した結果を、6月18日からミラノで開催された欧州高血圧学会(ESH2011)で報告した。

 ACTION試験の対象は55歳以上のステージ2の収縮期高血圧(平均座位収縮期血圧160〜200mmHg)患者215例で、アリスキレン/HCTZ配合剤群とHCTZ単独群にランダムに割り付け、8週間追跡した。配合剤群はアリスキレン150mg/HCTZ 12.5mg、単独群はHCTZ 12.5mgから開始し、1週後にそれぞれ300/25mg、25mgに増量。4または6週後の評価で座位収縮期血圧が160mmHg未満に到達しなかった場合にはそれぞれの群にアムロジピン5mgを追加した。

 試験の評価項目は、登録時から4週、8週後の収縮期中心血圧の変化、同期間の拡張期中心血圧の変化、および平均中心血圧値と中心脈波の変化とした。

 対象の平均年齢は64歳で、性別、人種、BMI、高血圧罹患期間、平均座位血圧、中心動脈血圧に差は認められなかったが、糖尿病合併例がHCTZ単独群で多かった(19% vs. 26%)。

 登録時から4週後の収縮期中心血圧の降下度は、配合剤群28.7mmHg、単独群24.4mmHgと配合剤群で有意に大きく、その差は平均4.4mmHgであった。8週後の降下度も、それぞれ30.9mmHg、26.1mmHgと配合剤群で有意に大きく、その差は平均4.9mmHgであった。

 なお、拡張期中心血圧の降下度は、4週後に配合剤群8.3mmHg、単独群7.1mmHg、8週後はそれぞれ11.1mmHg、8.0mmHgと、配合剤群の方が大きかった。また、平均中心血圧、中心脈波の低下度も配合剤群の方が単独群に比べて大きかった。

 有害事象の発現率は配合剤群43.2%、単独群44.8%で、アムロジピン追加投与の有無にかかわらず発現率は変わらなかった。なお、両群ともに忍容性は良好だった。

 これらの結果から、ステージ2の高齢高血圧患者において、アリスキレン/HCTZ配合剤の中心血圧の低下効果はHCTZ単独に比べて大きいことが示された。J. Basile氏は、アリスキレン/HCTZ配合剤は高齢高血圧患者の末梢血圧だけでなく中心血圧をよく低下させる降圧薬だと結論した。

(日経メディカル別冊編集)