イタリアUniversity of PadovaのS. Masiero氏

 過体重・肥満例では血圧測定時にサイズの大きなカフが必要となるケースが多い。カフは上腕周囲長に合致したものを使用すべきで、特大サイズのカフが必要になることもある。イタリアUniversity of PadovaのS. Masiero氏らは、上腕周囲が52cmまでの肥満患者を対象に、特大サイズのカフを装着した自動血圧計の正確性を検討し、その結果を6月18日からミラノで開催された欧州高血圧学会(ESH2011)で報告した。

 本研究の対象として45例が登録されたが、血圧値の逸脱(9例)、コロトコフ音が不鮮明(2例)、心房細動(1例)を理由に12例を除外し、33例を解析対象とした。33例中女性が13例、平均年齢は53±17歳(範囲30〜96歳)で、収縮期血圧(SBP)は142±21mmHg(110〜180 mmHg)、拡張期血圧(DBP)は87±14mmHg(62〜106mmHg)。上腕周囲長は36±5cm(32〜50cm)であった。

 血圧はL〜XLサイズ(32〜52cm)のカフを装着した血圧計(「Microlife Watch BP Office ABIモニター」)を用いて測定した。この装置は、インフレート時に被験者の上腕周囲長や体組成に合わせてパラメータを調整するようにプログラムされており、上腕周囲長が32〜52cmの範囲であれば正確な血圧測定が可能である。

 欧州高血圧学会(ESH)のプロトコル(2002年版)に則って装置の評価を行ったところ、測定者2名の測定誤差は、SBPでは0.2±2.7mmHg、DBPでは0.1±2.1mmHgだった。

 本装置で測定した血圧値(デバイス値)と聴診法で測定した血圧値(参照値)を比較したが、比較を正確に行うために、聴診法で血圧を測定する際には被験者の上腕周囲長に合わせて3種類の送気球を使い分けた。

 測定したSBPは100〜180mmHg、DBPは60〜110mmHgの範囲に分布した。デバイス値と参照値の差はSBPでは1.3±5.1mmHg、DBPでは1.8±5.8mmHgと僅かで、両測定値に15mmHgを超えて差があったのは198件の測定ケースにおいて2件のみだった。

 なお、多変量解析ではデバイス値と参照値の差と、年齢、性別、導入時のSBPとDBP、上腕周囲長との間には有意な関連性は認められなかった。

 さらに、対象を上腕周囲長の中央値で2群に分けて検討したが、この2群間でデバイス値と参照値の差に有意な違いは認められなかった(SBPではP=0.52、DBPではP=0.18)。

 以上の検討から、Masiero氏は、上腕周囲長の大きな肥満例であっても、L〜XLサイズのカフを装着した最新の自動血圧計の正確性は高く、大きなカフを用いても血圧計のアルゴリズムは正確に機能すると結論し、上腕が著しく太く大腿部用のカフを用いる必要がある場合においても血圧値の正確性は保たれているとコメントした。

(日経メディカル別冊編集)