左室の形態学的な特徴や24時間血圧プロファイルについて、90歳以上の超高齢者ではあまり検討されていなかったが、求心性左室肥大の保有率が高いこと、夜間血圧はnon-dipping型とreverse型が多いことが明らかになった。イタリアUniversity of MilanのA. Esposito氏らが、6月18日から20日までミラノで開催されている第21回欧州高血圧学会(ESH2011)で発表した。

 本検討の対象は、同大学の関連施設に入院した90歳以上の高齢者106例。平均年齢は95歳(90−106歳)で、女性が90例を占めた。血圧や心拍数の測定、心電図検査、心エコー検査、24時間自由行動下血圧モニタリングABPM)を実施した。106例のうち20例は、死亡あるいは患者同意が取得できなかったなどの理由により、心エコー検査および24時間ABPMが実施できなかった。

 左室肥大については、男性では左室心筋重量係数(LVMI)が125g/m2以上かつ51g/h2.7、女性では110g/m2以上かつ47g/h2.7以上と定義した。また、夜間血圧プロファイルは血圧の低下率が10%を超えた場合をdipping型、低下率が5〜10%の場合をreduced dipping型、低下率が5%未満の場合をnon-dipping型、上昇した場合をreverse型とした。

 対象の106例のうち、高血圧と診断されたのは61例(57%)、認知機能障害が認められたのは72例(68%)。高血圧患者のうち、認知機能障害を伴ったのは39例(64%)であった。

 心エコー検査を実施できた患者86例のうち、左室肥大と診断されたのは59例(69%)で、左室肥大群の平均LVMIは125±41g/m2、55.9±19.5g/h2.7であった。左室肥大群のうち、37例(63%)が高血圧の罹病歴を有していた。一方、拡張機能不全(E/A比が1未満)は64例(75%)で認められ、そのうち37例(58%)が高血圧であった。

 左室の形態学的特徴に関しては、求心性肥大が46例(53%)、遠心性肥大が13例(15%)、求心性リモデリングが16例(19%)で認められ、11例(13%)は正常所見であった。

 24時間ABPMを行ったところ、収縮期血圧のプロファイルはdipping型が20%、reduced dipping型が10%、non-dipping型が21%、reverse型が49%、拡張期血圧はそれぞれ14%、17%、40%、29%だった。収縮期血圧、拡張期血圧のいずれも夜間血圧があまり低下しない、あるいは上昇した症例が約7割を占めていた。

 以上の結果からEsposito氏は、「90歳以上の高齢者では左室肥大の保有率が高く、中でも求心性肥大の割合が高いこと、また夜間血圧はnon-dipping型だけでなくreverse型も多いことが明らかになった」と総括した。

(日経メディカル別冊編集)