愛媛大の稲葉慎二氏

 愛媛大の稲葉慎二氏(写真)らは6月19日、HYPERTENSION2008のポスターセッションにおいて、「オルメサルタン+Ca拮抗薬」には降圧を介さない血管リモデリング抑制作用があり、抗炎症・抗酸化作用が機序の一部である可能性を報告した。

 稲葉氏らは10週齢の雄性C57BL/6Jマウスを、無処置対照群、血圧低下を引き起こさない用量の「オルメサルタン(0.5mg/kg/日)単独投与」群、「オルメサルタン+ニフェジピン(1.0mg/kg/日)群」、「オルメサルタン+アムロジピン(0.1mg/kg/日)」群、「オルメサルタン+アゼルニジピン(0.1mg/kg/日)」群と「オルメサルタン+ヒドロクロロチアジド [HCTZ] (0.5mg/kg/日)群」の6群に分けた。各群のマウスの下肢動脈にカフを留置し血管傷害を作製、その1週間後に遺伝子の転写活性化および組織の活性酸素種産生を、2週間後に新生内膜増殖反応を観察した。

 その結果、血圧は無処置対照群と薬剤を投与した5群とで同等だったにもかかわらず、血管傷害に関しては群間差が見られた。すなわち、傷害作成14日後の血管内膜増殖抑制を比較すると、無処置対照群に比べ、「オルメサルタン+ニフェジピン」群、「オルメサルタン+アムロジピン」群と「オルメサルタン+アゼルニジピン」群では有意な抑制が認められた。特にアゼルニジピン併用群における抑制が著明で、ニフェジピン併用群、アムロジピン併用群と比較しても有意な抑制だった(p<0.05)。HCTZ併用群では内膜増殖は抑制されなかった。

 内膜増殖抑制の機序を探るべく、傷害作製7日後の血管組織にて遺伝子の転写活性化を検討すると、ニフェジピン併用群、アムロジピン併用群、アゼルニジピン併用群では炎症性マーカーのMCP-1とTNF-αのmRNAの発現が対照群に比べ有意に抑制されていた。またアゼルニジピン併用群は、ニフェジピン併用群と比較してもMCP-1とTNF-αのmRNAの発現を有意に抑制していた(p<0.05)。

 また、ニフェジピン、アムロジピン、アゼルニジピン併用群ではスーパーオキシド産生が対照群に比べ有意に減少していた。遺伝子の転写活性化においてもP47phoxとRac-1のmRNAの発現が有意に減少しており、酸化ストレスの産生が抑制されたと考えられた。

 以上より稲葉氏らは、「オルメサルタンとCa拮抗薬併用により、血圧非依存性の血管リモデリング抑制、炎症反応と酸化ストレスの抑制が観察された」と結論した。