英国Imperial College LondonのNigel S Beckett氏

 ベルリンで開催されたHYPERTENSHON2008での話題の中心の1つは、間違いなく大規模スタディーHYVET(HYpertension in the Very Elderly Trial)だった。大会3日目のオーラル発表(30分)、4日目のプレスカンファレンス(1時間)、企業主催のシンポジウム(1時間15分)。そして6日目となる最終日にはポスター発表2題と成果の発表に時間が割かれ、すべてのセッションが参加者であふれていた。

 今年3月にThe New England Journal of Medicinedeで報告されたHYVET(関連記事)は、80歳以上の高齢者に「150mmHg/90mmHg」を目標に積極的な降圧治療を行うと、全死亡、心血管イベントの発症などが大幅に低下することを明確に示した。これまで80歳以上の高齢者の降圧をテーマにして実施された大規模臨床試験は、ほとんどなかったため、エポックメーキングとなった。

 論文が発表されて間もないため、HYPERTENSION2008での発表は、ほとんどが論文内容の紹介にとどまっていたが、最終日のポスター発表では、若干、新たなサブ解析の結果が披露された。

 解析されたのは、性別、年齢、心疾患の既往、収縮期血圧によって死亡率や心血管イベントのリスクはどう変化するかについてだ。

 結果は、性別、年齢、心疾患の既往、収縮期血圧に関係なく積極的な降圧治療の恩恵は得られるというもの。研究の実施者で、論文のファーストオーサーである英国Imperial College LondonのNigel S Beckett氏(写真)は「この事実は、すべての高齢者への降圧治療を、さらに支持するものだ」と強調した。

 今回HYPERTENSION2008のポスターで発表した内容は「2、3カ月後に論文として発表できる予定」(Beckett氏)とのこと。ちなみに、その論文では、5年間の試験期間をいくつかの区分に分けて、区分ごとの死亡率や心血管イベントの発生率を開示しているという。日本高血圧学会が来春の発表に向けて作業を進めている「高血圧治療ガイドライン」にも、何らかの影響を与えることは確かだろう。