ドイツLuebeck医大のJ.Strizke氏

 加齢にともなう体重増加が動脈高血圧左室肥大を引き起こすとみられているが、体重コントロール心血管リモデリングに有益な効果をもたらすかどうかは不明だ。そこでドイツLuebeck医大のJ.Strizke氏(写真)らは、10年間の体重変化と血圧や左室形状の変動の関係を調査し、「体重増加が激しい人ほど心血管リモデリングが加速する」ことを突き止めた。6月19日、ベルリンで開催されているHYPERTENSION2008のオーラルセッションで成果を発表した。

 調査では、性別と年齢で階層化した無作為標本から1005人(年齢25歳から74歳)を選び、試験開始時と10年後に標準的な心エコー検査を行った。

 このうち、正常血圧グループ(n=573)を10年間の体重変化に基づき四分割し、グループごとに拡張期血圧(DBP)、収縮期血圧(SBP)、左室壁厚(LVWT)、左室重量(LVM)など変動を調べた。

 解析では、最初の四分位(Q1)と最後の四分位(Q4)とを比較して評価した。

 その結果、10年間のフォローアップで、Q1内の被験者では体重の減少(-4.2±3.3kg)がみられた。一方、Q4に属する被験者では体重の増加(8.9±4.1kg)が確認された。

 10年の加齢に伴ったDBPとSBPの変化に着目したところ、この2つのグループ間で有意な差があった。具体的には、Q1グループはDBPが+1.2%(95%信頼区間、-0.2‐2.6)にとどまったのに対し、Q4グループは+5.8%(同4.7‐6.9)と有意に増えていた(p<0.001)。またSBPも、Q1グループが+5.9%(3.5−8.3)に対し、Q4グループが+12.3%(10.4−14.2)と有意に増加していた(p<0.001)。

 さらに、Q4グループでは左室壁厚(+9.8%[7.8−11.8]対+6.3%[3.8, 8.8]、p=0.033)と左室重量(+14.5%[11.7−17.3]対+7.0%[3.4−10.6]、p=0.001)の増加もQ1グループに比べて大きかった。

 Strizke氏は「予想通り、体重増加は交絡因子とは独立してDBPとSBPの増加と関連していた。結果として左室リモデリングは、フォローアップ時に体重増加が大きかったグループで加速していた」と結論した。また、体重が減少したQ1グループで、加齢に起因する左室重量の増加がそれほど大きくはないが確認されたことから、「若年肥満者に早くから介入をすれば、早期の心臓リモデリングを防ぐことができるかもしれない」と考察した。